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2010.06.29 社長のブログ19:<ピアノの違いが分かるという事――その2>

3.譜読みの段階は、デジタルピアノでもよいかもしれませんが、少なくても音楽の本質に近づこうとした時、デジタルピアノで、どう頑張ってもできるわけがありません。

最近では“生徒の7割がデジタルピアノです”とおっしゃる先生もおられます。
電子=デジタル、ピアノは、喩えていえば、造花を一生懸命本物に近づけようと作ったようなものです。『この造花は、水分をあげると、緑が濃くなるのですよ!』『ハッパを触ってください、本物そっくりで、すぐ切れるでしょう!』こんな高級造花を室内に飾っても、所詮、根のない生き物です。本来の「花」の持つ、美しさ、癒し、慰め、心をこめた手入れに反応してくれる、人が感じる喜び、自然の驚異などを感じさせてくれる、「生花」とは程遠いまがい物です。
電子ピアノの初歩的しかし根本的「限界」を良く理解して下さい。話がそれました。

4.新潟県、小出郷文化会館の『音楽合宿』は、もう10年以上続いて、公共ホールの活動として、意欲的なプログラムを組んでいる、ということで、「総務大臣賞」も受賞しました。その活動の一つに、ハイデルベルグ-マンハイム音大のProf.マイスターの、ベヒシュタインとスタインウェイを使ったレッスンがあります。

全然違った性格のピアノを弾いて、先ず生徒さんはびっくりします。そして、私の言う、『ベヒシュタインは、哲学の音がする』と言う意味が少し分かってくださる生徒さんもいます。
簡単に言えば、ここでは、こういう意味の音がほしいんだけど。。。。」といった時に、それらしく音が出てくれるピアノだからです。考えに反応してくれるピアノとも言えます。---こういってもお分かりにならない方が多いことでしょう、でもいいのです。日本は、そういう環境になかったわけですから。

でも、皆様方には、テクニックがあります。これからは、よいピアノで、タッチと音の関係を聴覚を研ぎ澄ませて、訓練すれば、すぐ身につくというか、求める音色を実現できます。曲のアナリーゼを通じて、「どんな音が要求されているか」を教わったり考えたりすることは、楽しいことです。そして、それが実現できた時の喜びは、更に大きく、そして、この達成によって、ショパンやドビュッシーという作曲家を理解できたとしたら、天にも昇る感動でしょう。

5.弊社が最近導入した、ホフマンのグランドピアノ(税込み255万円より)でもこういう体験ができます。インターネット上の第3者の「ブログ」でもこのことは、結構、驚異をもって、書かれています。例:「カオリンのつれづれ音楽日記」又、私の存じ上げないピアノの技術者は、“実際に楽器に触れて、音色の素晴らしさに驚いた。内部もしっかりした作りで、さすがベヒシュタインによるもの。。。と実感”と書いて下さっています。

どうか、色々なピアノで、比較しながらレッスンを受けてください。先生はスタインウェイ、生徒は、ヤマハ なんていうレッスンは愚の骨頂だと思います。先生はヤマハでも、こんなにいい音が出せる、と示さなければなりません。その違いにびっくりした勢いで、生徒さんは、もっといいピアノでそれが実現できる実感を味わってください。
お友達のピアノを弾いてみるのもいいでしょう。

6.神戸芸術センターのピアノコンクールの予選では、ザウター・プレイエル・ブルートナーのフルコン3台から自分の弾くピアノを選ばなければなりません。普段弾きなれた山は哉スタインウェイはありません。そこで、大抵の方は、“如何に個性の違うピアノが世の中にはあるものだ!!”、とびっくりします。そして、本選は又、ベヒシュタインなど、違うピアノで弾くのです。違うピアノに触れるだけでも、このコンクール(例年、1月末。東京芸術センターは3月末)は、受ける価値があると言えるでしょう。

ホフマンのグランドピアノについては、『百聞は一見にしかず』です。弊社ショールーム
や正規代理店で、同価格帯の国産ピアノと十分弾いて、比較下さい。

文責 戸塚 亮一

【過去の記事】
2010.05.25 社長のブログ18:<ピアノの違いが分かるという事――その1>
2010.03.05 社長のブログ17:弊社の販売網
2009.12.25 社長のブログ16:<独目八目> ブレンデルの言葉――読売新聞09.11.24夕刊より>
2009.08.25 社長のブログ15:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 2>
2009.08.05 社長のブログ14:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 1>
2009.04.17 社長のブログ13:<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>
2009.03.01 社長のブログ12:「紙(幣)上の楼閣・2008年の崩壊」 独眼流孔明
2009.02.12 社長のブログ11:神戸芸術センターピアノコンクール 第2回
2008.10.24 社長のブログ10:最近の結婚式の挨拶から、次々に展開する話し
2008.09.29 社長のブログ9:また、ホールについて/日経の記事より(その1)
2008.05.27 社長のブログ8:ソロのピアニストは、ピアノ伴奏者より上?
2008.04.29 社長のブログ7:ピアノの違いを分かってほしい
2007.05.12 社長のブログ6:2つの演奏会評
2007.03.01 社長のブログ5:建築家、村井敬氏の見識
2006.04.17 社長のブログ4:「独目八目」
2005.12.01 社長のブログ3:社長からのメッセージ
2005.10.01 社長のブログ2:低価格の販売は
2005.06.06 社長のブログ1:戸塚からのメッセージ その1

2010.05.25 社長のブログNo.18:<ピアノの違いが分かるという事――その1>


又、もう2ヶ月が過ぎてしまいました。前回の最後に、啓蒙活動として、ピアノの違いを知ることが大切、つまり、

「ピアノの違いが分かることが、いかにピアニストにとって得がたい知識と演奏上のヒントになるか(この点が今日本のピアノ教室に最も欠けていると思います)」

と書きましたが、この辺りの説明をしておきたいと思います。

1.ドイツ人の気質から入りましょう。
ドイツ人は議論好きと言われます。その通りです。つまり夫々が個を子供のうちから確立させるので、早くから、自分の意見を述べるようになります。
一方、命令にも弱いので、会社内での議論の最後は命令で、押し切ると黙って引き下がります。
友達同士の議論になって、物別れになるとき、必ず、ドイツ人は、

“みんな同じ意見なら、人生は退屈=langweilig,だからね!”

と言って、喧嘩にならず、気まずくもなりません。


2.ピアノも全く同じで、音色に違いがあることは、先ず聴覚を発達させます。それも、手や指の運動神経との関連においてです。
次に、異なるピアノで、ショパンがほしかったであろう音を出すことや、楽譜のこのフレーズを実現しようと試みることで、手の運動と、耳との、関係を頭が考えます。ほしい音色や、内声部のメロディを強調したいなど、色々と試行錯誤を繰り返します。
要は、ピアノの性能のせいではなく、あなたのピアノに対する心構えというか、工夫をすることが、楽しいのです。あなたの優れた工夫が、ピアノが応えてくれたとしたら、こんなに楽しいこともありません。才能がどんどん開花します。
レッスンの場合で言えば、同じフレーズや曲をすぐ、隣の違うピアノで弾いてみましょう。全然タッチを変えなければならないかもしれません。このピアノでは音が繋がるのに、あのピアノでは、指を長時間、鍵盤に乗せていなければならないかもしれません。
旋律を立体的に組み立てるには、と言う先生の指導の下に、夫々のピアノで工夫をすることも出来ます。そういう中で、より、タッチと音の関係に注意を払うようになります。必然的に「音を良く聴く」ことになります。

その2に続く

文責 戸塚 亮一

【過去の記事】
2010.03.05 社長のブログ17:弊社の販売網
2009.12.25 社長のブログ16:<独目八目> ブレンデルの言葉――読売新聞09.11.24夕刊より>
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2009.04.17 社長のブログ13:<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>
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2010.03.05社長のブログNo.17弊社の販売網

今までのブログでは、弊社のモットーでもある、ピアノ音楽の啓蒙を中心に一つの見方を述べてきたつもりです。今回は、目先を変えて、「販売(網)」について、述べさせていただきましょう。

弊社、ユーロピアノ㈱はベヒシュタインの輸入総代理店ですから、我々の使命は、日本市場での販売に責任を持つことと同時に、1)品質保証、2)流通網の整備、3)高いブランドイメージの構築と維持、そして、4)需要の創造です。

1)品質保証につきましては、このような手作りのピアノは、整調作業など相当の経験と知識を要します。その高度な技術をもってして初めて、ベヒシュタインなどメーカーの求めるピアノにすることが出来るからです。したがって、常に、弊社社員を、ドイツの子会社経由で、ベヒシュタイン・ザウターの工場に研修に出しております。技術者のレベルが、即、ピアノのレベルになってしまうからです。弊社の若く見える技術者も、ピアノ調律の専門学校卒業後、大体の場合、弊社での2年間の研修期間を経て採用され、更に、ドイツでの工場研修をなんども経験して一人前になります。

2)弊社の現状の販売網には、「正規代理店」と「特約店」があり、ベヒシュタインを取り扱うにふさわしい態勢つくりを心がけております。先ずは、どうぞ、弊社の「正規代理店」又は「特約店」よりご購入をお願いする次第です。“ベヒシュタインを取り扱います”称して、正規代理店でも特約店でもないお店もありますのでご注意下さい。
直接弊社宛お問合せ下さい。
「正規代理店」は、技術力、展示台数、啓蒙・需要創造活動、販売実績を下に設定させていただいております。正規代理店制度を採り始めて、4年目に入り、見直しも必要ですが、一方、ヨーロッパ高級ピアノの取り扱いにふさわしいピアノ販売店を、私どもは常に探しております。取扱店の数を増やすことは目的ではありません。

ピアノの技術者(調律師)を通した販売も、販売網の一つと考えることが出来ます。今までベヒシュタイン、ザウターなどのお客様をご紹介を頂いている技術者の方が沢山おられます。技術者の技術向上には、限られた環境ではありますが、弊社八王子の工房、や、特約店などでの技術セミナーの実施、ベヒシュタイン、ザウター工場での研修などを通じて、更なる向上に努めております。又、メーカーに対しましては、ドイツ工場での研修を受け入れてもらうべく、更に働きかけを行って参ります。

3)高いブランドイメージは一朝一夕に出来るものではありません。これは、兎も角、地道に、ヨーロッパの高級ピアノの啓蒙活動を通じて達成して参りたいと存じます。
 流通網とも関係いたしますが、“どこよりも安くします!”を謳うようなお店からは購入されないようにお願いいたします。弊社の取扱商品は、家電量販店の扱うものとは、全く違うことをご了解下さい。中国製、インドネシア製などの低価格帯のピアノは安いほうがよいのかもしれませんが、弊社商品をホームページ上で値引きをアピールしているお店は、アフターサービスとか、品質保証が疑問符です。

4)最後に、啓蒙活動と需要創造です。ピアノは人が生きていくために必要なものでもないし、生活にも困りません。ピアノの楽しみが、如何に生活に潤いを与えるか、ピアノの違いが分かることがいかにピアニストにとって得がたい知識か、演奏を通して如何に人に感動を与えることが出来るか、などを理解していただき、人生の喜びを知っていただく仕事が、我々の使命で、そこから必然的に販売がついてくる、と考えております。
 例えば、国産メーカーのポスターに、“チェルニー30番まできたら、グランドに買い換えましょう”というものがありました。“高いグランドピアノは、誰が買うのでしょう?”ピアニストですか? いいえ、答えは至極当たり前、ピアノの好きな「お金持ち」が買うのです。
 じゃあ、碌に弾けもしないお金持ちが買っても、猫に小判じゃないですか?!そうです。だから、そのお金持ちは、ピアニスト(当時で言えば、例えばショパン)を自宅に呼んで、ピアノの好きな人を集めて、小演奏会を開いて、ピアニストとみんなでピアノのお話をして楽しむのです。こういう、ヨーロッパでは今でも当たり前のことを理解していただきたく思います。
皆様のお近くに、推薦できる「正規代理店」や、弊社の「特約店」があるか、info@euro-piano.co.jpを通じてお気軽にお問合せ下さい。又、弊社ギャランティーカードにもありますが、ご購入後、5-10年後くらいに一度、「メインテナンス」と称する、ピアノをよく点検することもお勧めいたします。こちらも、弊社八王子までお問合せ下さい。

文責 戸塚 亮一

【過去の記事】
2009.12.25 社長のブログ16:<独目八目> ブレンデルの言葉――読売新聞09.11.24夕刊より>
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2009.12.25社長のブログ16:<独目八目> ブレンデルの言葉――読売新聞09.11.24夕刊より

最近は、経営も厳しいし、滞独35年の視点“独眼流”ブログをほかのテーマで書いてみたり、
余分な仕事をしてしまい、この本業のブログも滞りがちで申し訳ありません。
もう12月、本年1年間皆様のご支援を心よりお礼申し上げます。
幸い、本年9月の決算は、為替差益のお蔭もあり、何とか黒字を出すことも出来、配当も3.5%と増配することといたしました。来年は更に積極的に需要創造活動に精を出すつもりでございます。
 
さて、78歳のブレンデルは第一線から、引退するという。その引退取材記事が、読売新聞に掲載された。この記者の方には是非お会いしたいと思うが、先ずは、ほんの一部を抜粋させていただこう。
「大きなホールで演奏しなければならなくなった結果、より大きな音を出せる代わり、ゴツゴツした金属的な響きのピアノが当たり前になった。大音響でピアノを打ち鳴らせば、音楽が抱擁する繊細な感情が吹き飛んでしまう。しかし現代の聴衆はそうした音を求める。一昔前の巨匠なら『寄り付きもしなかった楽器』(カッコは筆者)を使わざるを得ない若手の先行きを案じる。」
                                     
『一昔前の巨匠なら見向きもしないピアノ』とは、どこのピアノだろう?
ドイツ製?日本製?よくもここまで言い切ったものと、私は正鵠を射る指摘に驚愕すると共に現代の悲劇を感じた。こういう巨匠にはまだまだ活躍してほしいものだが、後進に期待せざるをえないのだろうか。誰が後進だろうか?

最近の、12月13日の「日経」にも、内田光子さんの記事があった。
その内田さんの言葉は、ブレンデルと共通するものがある。しばらく前の話だが、中国新聞に、2回に亘って、内田光子さんの記事が紹介されていた。
曰く、大原美術館のピアノ(1920年代のベヒシュタイン)に接して、「ピアノの音が消え行くときの美しさ、それを表現できる楽器に久しぶりに出会えた」と述べておられる。
2010年の弊社、カレンダーの表紙(希望者は、一部税込み800円。送料別)に載っている。

こういう、「本当」を伝える私のピアノ談義や薀蓄を傾けるために、常々、ピアノの本を読むのも好きである。最近の本としては、「レオ・シロタ」毎日新聞社刊、山本尚広著 と、田村宏先生の「回想録」ショパン社刊を拝読した。
レオ・シロタ氏は、ブゾーニーの弟子で、ウィーンで活躍した後、日本に相当期間滞在し、日本のピアノ音楽の揺籃期を支えた。確か毎日音楽コンクールの第1回の審査員であったと思う。そして、その時のピアノは、ベヒシュタインであった。
去る12月19日には、塙 保己一(江戸時代)の表彰式(埼玉県本庄市)で、梯 剛之さんがベヒシュタインを弾いた。ピアノの違いをまざまざと見せつける(聴かせる)すばらしい演奏であった。ピアノはどこのピアノでも同じ音だ、とは思わない聴衆と教育者が育つことを切に願う。
かっての巨匠が、名演奏といわれる評判の演奏会で、どのピアノを弾いていたか、という論文なり
研究があってしかるべきである。というのは、私が「ベヒシュタイン物語」で述べている如く、各ピアノメーカーの創立者や、その後の後継者は、どういうピアノを作りたいか、という明確な意図があって、創業し、後継しているのであるから。そこには、製作者とピアニストの関係が明確にある。
必然的にピアノの名演奏といっても、出てくる音、表現の仕方=演奏テクニックなど大きく違う。

例えば、ドビュッシーの研究家、演奏家といわれる方は、ドビュッシーがどこのピアノを使って、そのピアノに対する論評の言葉を知っているだろうか?一昨年、ポーランドを訪問した際、ドビュッシーの研究をされている方から、私がベヒシュタインの総代理店をしている知って、“ドビュッシーがベヒシュタインを使用して作曲していることは知っています。でもそれは、2本ペダルのピアノか、3本ペダル(トーンハルテペダル)かベヒシュタイン社に聞いて下さい”といわれたことがある。
回答は、3本ペダルであった。
ケンプもベートーヴェンのワルトシュタインを弾く際にベヒシュタインについて述べている。これを松浦先生は、演奏会でベヒシュタインを使用された際に言われたことがあった。
園田高弘先生から、私が直接お伺いした言葉もどこかで紹介したこともある。
つまり、先生は、ヤマハのCFⅢの試作品と、ベヒシュタインのBと、スタインウェイのBをもっておられて、その3台から自分の演奏を仕上げられていた。

メーカーと演奏テクニックと、作曲家の関係などは、世の、学者先生に研究していただきたいテーマである。東京芸大の博士論文のタイトルをインターネットで見てみたが(最近のもの)勿論そんな研究などない!日本人のピアニスト、や研究家の見る眼(耳?)をもう少し広くしていただけないだろうか?

今回はここまで。

文責 戸塚亮一


【過去の記事】
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2009.08.25社長のブログ15:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 2


日本の音大を卒業すると、日本の大学院に相当するドイツの芸術家資格(Kuenstleri‐sche Ausbildung=「KA」のコースに入る、最低限の資格を持っていることになるわけですが、最近は、「KA」のコースに入ることは益々難しくなっています。
演奏技術の点で、相当高いレベルを要求されます。
まず、音楽大学の3年編入がよいかもしれません。
総合大学の音楽科へ入学の場合は、ドイツ語は、ゲーテ上級の取得レベルは当然と見られ、ドイツへ来てから、通常、1年間はドイツ語学校に通うことを覚悟しなければなりません。
また、アカデミーの入学のための、試験の難易は大変差があります。
日本の音大を卒業し、どうしても、長期にわたっても留学したいという方はご相談下さい。
とりあえず、アカデミーに留学し、大学院(KA)へ進むための“予備校”のつもりで入ることは良い選択かもしれません。
滞在期間は長くなりますが、私立のアカデミーの場合は、授業料は有料で、1学期、6ヶ月間で、2—30万円かかる場合もあります。
但し弊社社員の場合は、カッセル市に属した市のアカデミーに5年間在学したため、授業料は無料でした。


2.芸術家資格(KA)の取得。
さて、音楽大学(MH)であれ、総合大学音楽科であれ、卒業試験(Abschluss-Pruefung)を通ると、学士資格(Diplom)を取得します。
アカデミーの場合は、そのアカデミー毎に選択によって、別々の資格が得られます。
その上は、「KA」です。(バイエルン州ではマイスタークラスと称します)
KAを終了すると、「国家芸術家」称号/資格を得たことになります。
さて難しくなった理由は、
① 韓国勢と中国勢の台頭が著しく、日本の留学生数を凌駕しているのではないかと思われるほどです。
更に、彼らの活躍の理由は、韓国国内の演奏テクニックのレベルが、15段階に分かれているグレードがあり、留学希望者の殆どが、その最高位を取ってきている。
日本でも、いっそのこと、テクニック(スポーツ的に如何に早く指が動くか、全部の指が、コントロールできるか)だけの全国共通レベルを設定すると、面白いかもしれません。
2007年7月末に、約10日間、ベルリンで、ドイツ人教授5人による「マスターコース」を、Samick社がベヒシュタイン社の協力の下に、募集・斡旋したら、なんと、90人も集まってしまいました。
勿論韓国の音大の学生が大半で、卒業生、高校生らしき方も1割以上程度おられたでしょうか。 
2008年は、実に300人以上の生徒さんが参加しました。ちょっと脅威です。
同時に、韓国人・中国人の性格として、日本人より自己を主張することが強い。それが、入学試験においても、芸術家としての強みです。そして、中国以外のアジア諸国の台頭も見逃せません。
②二番目の理由としては、
入学試験の語学(ドイツ語)について、厳しくなってきた、ということです。
大雑把に言えば、(*注:大雑把という意味は、いい加減という意味ではなく、州によって、また、大学によって、異なる規定を設けているからです)ウィーンでは、演奏テスト合格後6ヶ月で、ゲーテの中級程度があればよいという基準です。
ドイツの「MH」では、入学資格として中級程度のドイツ語を要求され、大学によっては、ベルリンでのドイツ語共通試験を通ってくる事を前提にしているところもあります。
総合大学の音楽科は、ドイツ語の試験の合格レベルが特に高く、ゲーテの上級を終了する程度が要求されます。ドイツ人教授に演奏では認められていても、語学試験では、入学希望者全員に共通なレベルを求めますから、難しくなります。
因みに、オランダ留学では、英語が絶対に必要で、入学後の授業では、オランダ語はむしろ、邪魔になるくらいといいます。
ある教授の話によると、入学試験の際、演奏で落ちても、“あなたのドイツ語ではむりだ。”と配慮をして発言してくださる教授もいるということです。
かっては、日本へ来たドイツ人教授などが、“演奏の実技試験に通るであろう”と言えば、何とか、いきなり、「KA」のコースへも入れましたが、今は、ずっと難しくなりました。
 纏めますと、大学院コースへ入学許可されて、芸術家資格「KA」を取るまでに、最低、2年間 (4学期=Semester)は必要で、そのPruefung(「KA」取得試験)を通ると、演奏家国家試験(Konzert―Examenの試験Pruefung)が有ります。
「KA」取得後、すぐに受けてもいいし、少々準備に時間をとる場合もあります。
「国家演奏家資格」をドイツで取った場合、ドイツでは、その人数と、需要(演奏の場)が、日本ほど乖離していないので、ある程度の意欲があれば、音楽家、演奏家、または、市立の音楽教室の先生などを選び、職業音楽家として生活できるでしょう。
余談ですが、日本では、ともかく、メジャーなコンクールに上位入賞しないと、食べていけない環境であろうと思います。世界のトップコンクールにドイツ人が少ないのは、無理をして、コンクールに通らなくても、演奏の場が見つけられるという事情にも拠るのでしょう。

その2 おしまい。
その3は「学費について」へ続きます。


文責 戸塚亮一

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2009.08.05社長のブログ14:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 1


はじめに:ドイツ音楽大学の組織

ドイツは、資格社会です。
音楽家にも歴然と職業上の資格があり、先ずは、「音楽大学卒」そして、「芸術家資格」、その上に、「国家演奏家資格」、が有ります。加えて、音楽を教えることを職業とする場合も別の資格があります。その中には、公立学校の音楽教師の資格、そして、普通に音楽教室を開く時、又は、「市立の音楽教室での教師資格」、などです。
最近は、いろいろな教育改革もあって、これらの資格と、その教育機関が錯綜していたりして、日本からの留学希望者には、ちょっと分かりにくい状態です。
ドイツの場合、日本の「文科省」に当たるところが、州単位であるから、州によっても若干異なります。そして更に、「個」を重んじる考え方から、個々の大学によっても試験や、入学資格などに若干の違いがあります。
そこでこれら教育機関の呼び方と、そこで取得できる資格が、ドイツの州のみならず、国、つまり、オランダやフランス、オーストリーによっても異なるので更にややこしくしています。

その辺を記述してみよう、ということが今回のテーマです。第1回は、教育機関と取得する資格の名称について述べ、その2は、「芸術家称号(日本大学院卒に当たる)=KA」に付いて述べ、その3では、学費などについて述べます。音楽雑誌「ショパン」09年5月号の記事は、ドイツ語圏以外は、なんとなくそうかもしれない、程度に読んでください。

1.ドイツの高等音楽教育を受けられる機関

先ず、一般的な用語の解説からしましょう。
高校の卒業試験(アビチュア=Abiture)に通ると、即ち、これが大学入学資格です。
大学は、全部「州立」(日本では、「国立OO音大」と書かれる事が多い)です。
大学は総合大学(Universitaet、以下Uni.と略します)と、専門の単科大学(Hochschule)に分かれていて、音楽大学(Musikhochschule= MHと略します)は勿論単科大学です。
技術大学であれば、THと略します。教育大学もこの単科大学です。
総合大学の中にも、音楽科があり、主に日本と同様に、音楽美学、音楽教育学などを研究し、同時に音楽家、音楽教師の資格も取れます。
最近は、UniとMHが演奏家国家試験の準備機関として同格となったり、教授・講師が兼務していたり、複雑になりつつありますが、これはこの次に述べる、コンサヴァトーリウム=アカデミー(Akademie)の組織とも関連します。
州立の音楽大学(MH)に次いで、市立の音楽学校の頂点に有るものは、コンサヴァトーリウム
(又は、アカデミー)といわれるもので、市立の音楽学校の講師は、市立ですから、公務員です。但し、いわゆる日本の臨時雇いの講師ような講師も多くいます。日本の音大卒の方が、市立音楽教室の臨時講師として、採用されている方も多くいます。市立の音楽教室には、音楽が好きな児童から、18歳くらいまでの生徒が、有料で演奏技術を磨きます。
音楽大学(MH)の講師・教授も、公務員です。最近、では、これらの授業(授業内容) と先生(人件費)の合理化のために、著しい共通化の動きが有ります。
フランクフルト市のある、ヘッセン州を例に取ると、フランクフルト州立音大のちょっと南に、ホッホ・コンサヴァトーリウム(Dr.Hoch’s Konservatorium)と称する、アカデミーがあり、教室は、「ダームシュタット市」と、「ヴィースバーデン市」と、「カッセル市」にあります。
卒業の資格は、通常の音楽大学(MH)と同じ「音楽大学学士=DML-DiplomMusik Lehrer」と、「市立の音楽学校教員の資格=SMP-Staatliche MusiklehrerPruefung」が取得できます。音楽教師も、公立の学校(ドイツの教育機関はほんの一部を除いて、全て、州立、市立です)で教職につくためには、音楽教師の国家試験(Staatliche
Musiklehrer Pruefung=SMPと称する)に通らなければなりません。この卒「DML」や「SMP」はともに10学期制で、5年間の授業です。卒業試験は、学科は勿論、専門実技、教育実習、論文をすべてパスしなければならないので、日本の教員免許よりはるかに難しいといえるでしょう。

その1おしまい。

以下、その2、その3で、芸術家称号=「KA」の取得、と学費について述べます。
ご質問があれば、当ホームページの「何でもピアノ相談室」より、又は、Faxでご相談下さい。
「進学・留学説明会」は、弊社で時々行っている、ドイツ人、フランス人のピアノ個人
レッスンを受けられて、その際(後で)、直接質問されることがよいと思います。

文責 戸塚亮一

【過去の記事】
2009.04.17 社長のブログ13:<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>
2009.03.01 社長のブログ12:「紙(幣)上の楼閣・2008年の崩壊」 独眼流孔明
2009.02.12 社長のブログ11:神戸芸術センターピアノコンクール 第2回
2008.10.24 社長のブログ10:最近の結婚式の挨拶から、次々に展開する話し
2008.09.29 社長のブログ9:また、ホールについて/日経の記事より(その1)
2008.05.27 社長のブログ8:ソロのピアニストは、ピアノ伴奏者より上?
2008.04.29 社長のブログ7:ピアノの違いを分かってほしい
2007.05.12 社長のブログ6:2つの演奏会評
2007.03.01 社長のブログ5:建築家、村井敬氏の見識
2006.04.17 社長のブログ4:「独目八目」
2005.12.01 社長のブログ3:社長からのメッセージ
2005.10.01 社長のブログ2:低価格の販売は
2005.06.06 社長のブログ1:戸塚からのメッセージ その1

2009.04.17社長のブログ13:<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>


<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>

ヨーロッパのピアノは「手造り」と言われます。今回は、日本のピアノとヨーロッパの手造りのピアノとどこが違うのか、何故手造りが良いのか、ということに焦点を当ててみようと思います。
最初に、「良いピアノ」とはどういうピアノなのでしょう?という質問から入ります。私の見解では、良いピアノには三つの要素があります。
まず一番目は、勿論よい音を出してくれるピアノです。よい音とは、ギャーンと叫びたい時には、汚い音も出してくれるピアノです。いつもきれいな音では、楽器の表現力がせばまってしまいます。そして、よい音や高い表現力は良い材料、設計に裏打ちされていることが多いでしょう。

二番目は、演奏家にとって弾きやすいという楽器の機能性です。つまり鍵盤の深さや感触は一定で、高音部に行くごとに少しずつ抵抗感が減り、ペダルによる弱音もスムーズで、変化が大きくなるなどです。そのために現在は、自然の木や皮でなく、化学的な材料がどんどん用いられるようになってきました。これは、ピアノが工場を出る最初の段階ではいいとして、果たして、何年も持つでしょうか。その間の調整とか、他の材料とのマッチングは大丈夫かという疑問もあります。しかし均一性を維持するためと、価格を低く抑えるためには、プラステイックなどの材料の使用はやむをえないかもしれません。この点では、日本のピアノは世界一です。

三番目には日本人が忘れがちな重要なことがあります。
それは、ピアノは一台一台違わなければならないという、楽器のもつ「個性」ということです。つまり、人間の知恵の発達は、違いを認識することから始まります。
ドイツ人と議論をすると、よく「人の反応や意見がロボットの様に一定だとしたら、人生は退屈だからね!」と言います。ピアノもまさに同じ感覚です。
私は、この三要素を「ピアノの三位一体」と称しています。
そこで、この二番目の「機能性」が異常に大きくなり、一番目の「表現力の幅」が相対的に小さくなり、三番目の「個性」はもともと眼中にない、というピアノが、日本のピアノです。しかし、日本が、量産によってピアノの価格を低く抑え、これほど普及させたという功績は十分評価できます。他に良いピアノの要素として、外装・デザインなどもあるかもしれませんが、それは本質的なことではありません。

更にここで、日本製のピアノを弁護する話をします。
私は、先日お亡くなりになったピアニストの「園田高弘先生」のお宅に何度か伺ったことがあります。そこで先生は、ヤマハのフルコンサートCFⅢの試作品を大変気に入っておられて、いつもこれで練習をされていました。私のカワイ楽器時代での経験でも、試作品はメーカーが知恵を絞り、お金に糸目もつけずに、「良いピアノ」をといって何台か作ります。そして何人ものピアニストから評価を頂いて、「どのピアノ」と決めた上で、次に「量産試作」と称して、コストダウンを徹底的に図ります。なぜなら一定の小売価格に抑えないと売れないからです。それもピアニストに見てもらい、最終的に、仕様書を作成して、後はただ何千台、何万台と作るだけです。

ヨーロッパのような手造りのメーカーではそうは行きません。高級品になればなるほど、一台一台が全て日本のメーカーがいう「試作品」です。たとえば
「今度は、ここはぶなの木を使ってみようか、そうすると硬い木で囲むことになり、音の持続はもしかしたらよいかもしれない。接着の仕方は、ほぞ合わせしてみようか。」
など工夫は毎回どこかで行われる、といっても過言ではありません。日本人からすると、ヨーロッパピアノは、商品を受け取って、出荷調整の時に驚くことが沢山あります。だから、一台一台選ぶことも大切になります。ほんのちょっとした改良を、音の変化で理解することは、なかなかできるものではありませんが、そういう意味で一流のメーカー、店を選ぶ必要もあります。

話は脱線いたしましたが、園田先生はCFⅢのあと、ベヒシュタインを弾かれます。そうすると、自分がこう弾きたい、こういう音がほしいのだ、という点がどんどん分かり、今度は、部分的にベヒシュタインで練習されます。そして大体これでよし、となってから、スタインウェイのBをさっと弾かれて、演奏会へ出て行かれるのだそうです。
ともかく、個性は別にしても、日本でも良いピアノを作る能力はあります。
しかし、「量産」=効率化、という概念から抜け出せないので、価格と品質の狭間で、「没個性」又は「模倣」になってしまいます。

最後にヨーロッパのピアノでも、低価格帯のものは、日本製に近く機械化、合理化が進んでおります。ただ、ヨーロッパの考えの中でのピアノ造りであり、メーカーの人たちやピアノマイスターから「楽器の個性・表現力」という概念が常に離れません。そこで、どうやって「量産と個性」というあい反するテーマの中で、ピアノを造るか、高級品は材料も十分吟味し、製作にかける労働時間も十分取り、弾いていて楽しいピアノを作るということを忘れていません。だからヨーロッパピアノはアップライトピアノでも、価格は日本製の二倍、三倍もしますが、弾いていてグランドピアノ以上に楽しいのです。

更に詳しい説明を必要とされる方は、弊社ユーロピアノ株式会社までお問い合わせください。また、弊社ホームページwww.euro-piano.co.jpもご参照ください。

* 日墺文化協会提出資料より転載
日墺文化協会はヨーロッパの広い芸術文化活動振興をしているので、とても興味深く、皆様に入会をお勧めいたします。会員は随時募集しておりますので、ぜひご入会ください。

文責 戸塚亮一

【過去の記事】
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2009.03.01 社長のブログ12:「紙(幣)上の楼閣・2008年の崩壊」 独眼流孔明


ブログ12  「紙(幣)上の楼閣・2008年の崩壊」  独眼流孔明  09.2.28

1.2008年の反省
世界の金融機関の崩壊へのシナリオは、アメリカのサブプライムの破綻が始まりでした。この恐慌ともいえる現象を発生させた根本の原因は何でしょうか?
私はこう分析します。
つまり、この原因は、会社の評価を、決算数字を基にいろいろな指標を取り出し、それを、会社の実態の分析ではなく、会社の売買基準としたことです。
会社に限らず、債権とか、ファンドとかいわれるものも、本当の実態を考慮することなく、その評価の高いとされている「紙上の評価」を売買の対象として利益を生み出したかの如く、世界中が錯覚してしまいました。そして、誰かが最後のババを引き、全て崩壊に到ったわけです。結局、「紙」の上での評価に汲々とし、どうしたら、その評価を上げることが出来るかを銀行を始め、経営者、全てが腐心をしました。
弊社も銀行の指導を受けたりしましたが、所詮、弊社のように技術や、知識の積み重ねを必要とする企業の場合、そう簡単に数字だけで優秀な会社か、そうでないか、判断は出来ません。決算数字を基にして、利益率が悪ければ、悪い会社になってしまうのです。
さて、この基本的な誤りで、右も左も、不景気風です。

2.しかし、私たちは、こういう時代だからこそ、矢張り、ヨーロッパの歴史・伝統から学ぶことも出来ます。
ヨーロッパの銀行も押しなべて大損失を出していますから、アメリカの影響を受けていない、つまり“お金の盲者”でない人たちの冷静な対応から学ばなければなりません。
中世の時代から、個人の資産の継承に、「物」が使われました。マイセンの陶器であれ、銀の食器であれ、時に家具であったり、美術品であったり、又、楽器ということもありました。これらの価値あるものを、3代、4代と続いて相続したとしたら、50年~100年後のいざという時に、当時の購入価格を大幅に上回って、お金に換えることが出来ます。楽器の場合、ヴァイオリンは想像に難くないですが、それが、弓だけであったり、ピアノであったりします。100年前のピアノの修復には、若干の手間が掛かるとはいえ、購入価格の100倍の値段をつけることも日常茶飯事でしょう。本当に価値のあるものの値段は、その売られる時代の評価をうけます。従って、インフレを考慮し、希少価値としても考えると、相当の値上がりをします。ヨーロッパには、資産価値として、この様な『物』の蒐集家が結構います。ヴァイオリンの弓だけの蒐集家も沢山います。

3.例えば、ベヒシュタインの12n(アプライト)は40年前、約7,000ドイツマルク(約40-45万円=為替レートの取り方によって、大きく変わります)。普通に使用された状態で、我々が今、購入する値段は、約、60~70万円。ドイツ国内運賃と、梱包と港までの運賃と船賃、日本の通関料、日本の国内運賃、工房での手入れ、一部の修理などなどで、日本での小売価格は、約150-170万円です。スタインウェイのZというアプライトも全く同じです。
最近の円高で、実際の日本の市場価格は少し安くなったかもしれません。しかし、ドイツ国内で見る限り、この間、値上がりをしています。
こういうことの分かっている、ヨーロッパ人、つまり、“ファンド”や“投信”とかの
「紙」で持たずに「物=ピアノ」で持とうという人が現れてきています。日本人にはこういう発想は少ないと思います。
そもそもドイツ人は、日本人のようにピアノをがつがつ弾きません。趣味ですから。
ピアニストや、ピアノの先生は、沢山弾くかもしれません。それは職業ですから。
兎も角、ヨーロッパの高級ピアノは陳腐化しないのです。

こういう時代だからこそ、日本の方も、将来の資産価値として、ヨーロッパ製のピアノという実態のある、本当に価値のある「物」を購入して下さい。

正規代理店の方に:この話法を実証するために、ベヒシュタイン「12n」を在庫として展示ください。資産価値のお話は事実ですし、しかも「12n」はいいピアノですから、来訪者に大変、説明がしやすくなります。 

尚、フランスのオールド弓ですが、私も、一人の蒐集家として、はじめてみようかと思います。Bazin Millanの証明つき、1級品なので、興味のある方は、弊社、販促課、事業・行事担当、白川ひかり、までお問合せください。

 文責:戸塚


【過去の記事】
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2005.10.01 社長のブログ2:低価格の販売は
2005.06.06 社長のブログ1:戸塚からのメッセージ その1

2009.02.12 社長のブログ11:神戸芸術センターピアノコンクール 第2回


2009年2月7日第2回神戸芸術センターのピアノコンクール本選が行われた。ご存知のように、ここ神戸芸術センターには、小ホール3つと大ホール1つがあり、5台のフルコンが設置されている。予選は小ホール(ザウター、プレイエル、ブリュートナー)で行われ、本選は大ホール(ベヒシュタイン、ベーゼンドルファー)で行われた。
このコンクールは、一般的なコンクールでは批判されている、いくつもの点が改良されている、又は改善の努力がされている。
その一つは、審査員が公募によるもので、誰であるか分からないし、また審査員が会場で話し合って入賞者を選ぶということもない。演奏する応募者の学歴、師弟関係など一切隠されており応募ナンバーだけで演奏し、そして審査・選考される。

またショパンコンクール等、日本のコンクールでも当たり前のおかしな現象として、
「是非ウチのピアノを使って下さい!」
と、メーカーが血眼になって、自社のピアノを使用してもらう、その台数と、優勝者や、入賞者の数を競うこともない。これではスポーツ選手と同じで、テニスのラケットの様にピアニストがピアノメーカーの広告塔になってしまう。そして、演奏者も、記録=テクニック、つまり音楽の場合は、ミスタッチが無いか、のみを競うことに主眼が置かれてしまう。

この神戸のコンクールでは、予選で使われるザウター、プレイエルとかも、本選での、ベーゼンか、ベヒシュタインかを自分の耳と感性で選択しなければならない。通常のコンクールであれば、メーカーの社長が「うちのピアノを弾いてくださったら、グランドピアノ1台差し上げます!」という手土産まで持って出場者のお宅を訪問する、という話もある。
「そんな馬鹿げた話!」と思う方は、メジャーなピアノコンクールの実態を聞いてみてください。

このコンクール出場者はピアノに対応する力を持ち、ピアノの能力と自分の得意とするところとその演奏曲目との関係を考えなければならない。そして、一人、30分の間に3つの小ホールを駆け廻って必死に使用ピアノを選ばなければならない。ここにはスタインウェイもヤマハもないのだから。
そういう意味でも普段から、どちらかといえば反応の鋭いピアノで、自信を持って演奏、練習をしていなければならない。いつも「ああ、いい気持ち(音)!」と思っていたり、反応の悪いピアノ画一的なピアノを弾いていたのでは、一流のピアニストにはなれない。

もう一つ、国際コンクールと称するものの特長として、審査員の出身国のコンクール応募者が入賞しやすい。日本では、応募者の師事している先生がその審査員であるかどうかが(全部日本人であるから)判りにくいが、国際コンクールは顕著である。悪く言えば、審査員の顔ぶれと出身国が分かれば、その外国からの入賞者の見当はつく。
この様な、いろんなコンクールの弊害もなくそうと、この神戸芸術センターのピアノコンクールは努力をしている。
審査員の席はばらばらであるし、お互いに、採点したあとの協議で初めて顔を合わせる。

そして、本選では、ベヒシュタインを7名の方が使用し、ベーゼンドルファーは3人が選ばれた。入賞者3名と感動賞1名、計4名の内、3名がベヒシュタインを弾いてくださった。
こういうコンクールに是非たくさんの方に応募していただきたい。この考え方は東京芸術センターのコンクールも全く同じである。

そして、毎年の入賞者(約10名)を、東京、神戸両芸術センターで、年間60回もの芸術センター主催の演奏会を開催し、このコンクール入賞者は、出演料を頂いてピアノリサイタルを企画してくれる。まさに、登竜門であり、ピアニストとしての研鑽の場となっている。毎年、東京は、3月末、神戸は、2月初めである。
資料は、弊社に請求されても結構です。

2008.10.24 社長のブログ10:最近の結婚式の挨拶から、次々に展開する話し


ある若いピアニストの結婚式に主賓でよばれました。そのスピーチでは、「日本では、いろいろなピアノを試すという、当たり前のことをするピアニストがホントに少なく、嘆かわしい。スタインウェイ、ヤマハがあれば事足れり、と思っている。そういう中にあって、この新婦のピアニストは、ある演奏会ではそこにあるヤマハを使わずに“プレイエル”を使い、次のリサイタルでは、ベヒシュタインをホールに持込んで使用した。」因みに、貧乏会社の弊社は、無料で貸し出すなどということは出来ない。さて、「こういうピアニストは出てくる音の違いをよく聴くし、音の出し方を工夫する。だから優秀なのです。」 と述べさせてもらった。 ご存知の様に、ヨーロッパの伝統メーカーは、独自に、ピアノの設計の思想があり、それは又、ピアノ製造方法の流派の影響も受けている。
ベヒシュタインは、これだけ、世界では優秀なピアノでありながら、東京都の公共ホールには3台しか納入されていず、東京芸大にも桐朋にも1台も入っていない。「日本はブランド市場=自分の判断力のなさの証左である。」とも批判した。いろんなピアノを弾きながら、自分の音を作っていくというか、求めていくというか、そのプロセスが分からないのである。私は、こう述べても、ベヒシュタインが売れていないことを、ひがんで言っているのではない。逆に、普及が少ないことに誇りを持っている。なぜならば、そこにこそ、私の職業上の使命があるからである。
東京都江東区の、山崎区長が、主賓で挨拶されたあとに私の挨拶があり、東京都の公共ホールの一つ、「テイアラ江東」にベヒシュタインの「B」型が納入されていることも申し上げた。(2007年11月納入)

次の話:最近、そこそこ弾かれる、あるお客様が、ベーゼンドルファーにほぼお決めになった。でも最終的にどうしても飽き足らず、スタインウェイに決められた、という報告に変わった。日本で、スタインウェイの「B」を5台そろえてもらい十分弾かれるという。残念ではあるが仕方がない。でも、最後に、ブログ上でのベヒシュタインの評価が高く、購入された方が満足である旨の記述を多く読まれ、購入する前にベヒの「B」をどうしても弾いてみたい、ということになった。
この方は、ご自分でもおっしゃっているように、各地のピアノ販売店で相当、試弾され、検討された方である。ベヒシュタインをお見せしたかったが、貧乏会社の弊社には、在庫が1台もない。そこで、「テイアラ江東」をご紹介したら、そこで、3時間借りられて、じっくりお弾きになった。そして、ついに、ドイツで検品をしたい、というご希望になった。丁度ドイツの音大の検品もあり、フランクフルトの「ベヒシュタイン・センター」に、ドイツ国内のセンター展示品や、工場からのものなどを集めて10台を揃えた。そして、結局、その方は、「ベヒシュタインB」に落ち着き、めでたく08年10月納品となった。
最近あるスタインウェイの特約店から、弊社が悪口を言われるようになった。これは、ようやく、「競争相手」と認めてもらえたわけで、大変誇りに思うことである。20年にしてようやくここに到達した。

3番目の話:「テイアラ江東」の調律を担当された方は、フジコ・へミングさんの調律をされている、村上武士さんであった。フジコさんは、ベヒシュタインファンで有名なことでしょう。私もフジコさんの関係から、村上さんを存じ上げている。この方の腕も、ベヒに決まった一因であることは、購入された方も認めておられた。これも偶然であった。
以下、次回へ。

2008.09.29 社長のブログ9:また、ホールについて/日経の記事より(その1)


はじめに: 2008年9月15日付け「日本経済新聞」の『謎かがく』 という欄に“コンサートホールのよい音って?“という記事がありました。この記事の視点で見落とされているきわめて重要なことがあります。ホールにもうるさい私として、指摘したくなりました。「日経」の内容は、凡そ以下のとおりです。

『日本には、1980年代以降優れたコンサートホールが建設された。決定打はない。満席時の残響時間2秒がよいホールとされた。残響は客席数や、オーケストラの規模によって異なる。残響2秒は2000人規模で、大編成のオーケストラに向いている。室内楽など小編成の場合、1.5秒でもよく、コーラスは2.5秒くらいでも適している。残響にかかわる指標では、1客席当たりの容積も参考にされ、1客席当たり10立方mがめやす。ホールの音を決める要因として、残響感、方向感、広がり感など6項目を挙げる。結局、音の良し悪しには主観が付きまとい、現在は、失敗をしないホールを作りにはどうするかが分かってきた段階だ。このため、大きさが10分の1の模型を作り周波数などを調節した音を実際に響かせる手法が採用されている。編集委員永田好生』

私のつたない経験で言うと、よいホールかどうかを決める際の要因として、もっとも考慮すべき項目は、音楽の種類、つまり、ステージ上の音が、何箇所から出てくるかであると思う。ピアノ、ソロの場合の1点か、楽器又は声楽など伴奏の伴う2点か、又はアンサンブルなどと、合唱、オーケストラの無数か、が重要である。集約すれば、1点か、複数かという対比でもよい。
ドイツのデユッセルドルフには、昔のプラネタリウムを改造したコンサートホール、“トーンハレ”がある。このこけら落としは、オーケストラで、音響上も大成功との批評が新聞にでた。次のピアノソロ演奏では、鍵盤を叩く時にでる、“こつ、こつ”という音が異常に強調される席、ピアノの音が全て2重に聞こえる席、普通に聞こえる席などが出現した。そして、その後、天井の丸い部分に、縦の反射板を沢山つるし、何度、矯正されてきた。武満記念の「東京オペラシテイ」も1階真ん中辺り(高額な席)は、オペラの場合、歌い手の声が聴きにくい。オケの音が位置の関係から、歌い手の声より前に聞こえ、歌の空気の振動が、消されてしまうからである。オケピットの穴の大きさとか位置の関係もあろうが、オケの残響が長ければ長いほど、消されてしまう。2階席は総じてよい。
ヨーロッパのホールは客席が、上下に高い。これは、円筒形の、劇場、オペラを想定して作られている場合が多いからであろうか。“バイロイト”の歌劇場にしても、後ろの席の人の足の位置が、前の人の肩のあたり、という急勾配である。オペラであるから、ステージの歌手の声が、急勾配の客席に、満遍なく、より近く飛び込んでくる。また、「シューボックス型」(靴の箱のような長い立方体)のホールは、アンサンブルはいいとして、ピアノソロの場合、フォルテの音が、ホール内の空気振動の跳ね返り音として、客席上の空間で残り、続く音がもやもやして鮮明さに欠けてしまう。ベヒシュタインのように立ち上がりの鋭いピアノの場合、そのもやもやがよく分かる。最近のシューボックス型は、振動を乱反射させるべく、いろいろ工夫はされているが、どちらかと言えばアンサンブル向きである。小ホールの場合はいずれも残響は大して問題にならない。大ホールで、概して、“音響がよい”、とされるホールも、音楽の種類によってダメな場合も多い。いろいろな新設大ホールで、オケの指揮者などが “このホールはすばらしい!” などと安易に言うので、“チョト マテ クダサイ!”といいたくなってしまう。
また、ソロなどの場合は、残響の短さは演奏家の工夫を要求することになる。更に、特にピアノの場合、一点から音が出るので、ステージでのピアノの置かれる位置も大いに関係する。そして私の経験では、どの場合も、「すり鉢型」、「ギリシャ・ローマ時代の野外劇場型」ホールがもっとも良い、と思う。

この文章は、“コンサートホールのよい音って?”という「日経」の記事であるから、ステージ上の音源の数がいかに重要か、くらいわかって欲しいと思ったので記した次第である。-2へ続く。

2008.05.27 社長のブログ8:ソロのピアニストは、ピアノ伴奏者より上?


日本人は誰もそう思います。それは、一人で、舞台の上で、リストを弾きまくる方が格好がいいし、実力も発揮できます。誰でも、ソロのピアニストを目指します。

ところが、ドイツでは、そうでもないのです。
いや、「伴奏ピアニスト」の代わりに、「室内楽のピアニスト」というと、もう少し分かりやすくなりますが、この質問の逆で、伴奏者、又は、室内楽でピアノを弾かれる方の方が、「上」だとも言えるのです。“その通り!”とおっしゃる方は、ドイツへ留学されたか、日本で、ドイツ人などのレッスンを受けた慧眼の持ち主です。では、どうして、伴奏者の方が上なのでしょう?「上」とは誇張をしていったので、全ての場合において「上」、という意味ではありません。それを解き明かそうということが今日のテーマです。

理由その1.日本の音大を卒業し、ドイツの音大大学院に進む場合、最近ではその試験は大変難しくなってきました。いくつも理由はありますが、その大学院入学試験は、先ず、ピアノソロの試験に合格した人だけが、次に進み、伴奏・室内楽の試験を受けられます。つまり、ピアノソロの次に、伴奏・室内楽のコースがあることになります。因みに、ドイツでは音楽大学、大学院卒業資格を「KA」=「国家芸術家」称号、といいます。
理由の2つ目として、来年、第2回ベヒシュタインピアノコンクール日本予選がありますが、その試験の過程は、2次試験(ソロ)のあとに、アンサンブルの3次試験があります。ここで、たいていの日本人は落ちてしまいます。というのも、プロの歌手又は、弦の2-3人が用意されていて、選んだ曲の演奏の仕方について、話し合いながら、曲を仕上げていくとう過程があるからです。しかも、この初めての人と、音楽観なども話し合って(英語可)仕上げる過程も、審査員は見ています。つまり、ピアノソロより難しいレベルです。
これを通ると、最終が、ピアノコンチェルトの演奏、となります。因みに、入賞者には、約800万円くらいの賞金と世界での演奏会が、5-20回程度用意されています。ですから本当に実力のある、活躍中の方が参加します。審査委員長のBroch教授が世界の予選を全部審査します。日本予選を通るだけでも意義のあることですから是非応募下さい。日本予選は2009年の9月「神戸芸術センター」で行われ、本選はドイツのエッセンで、2010年3月です。
理由の3つ目。ドイツ語で、「ピアノを演奏する」は“Spielen”=Play=遊ぶ、 という言葉を使います。もう一つ、ドイツ語に“Musizieren ”という言葉もあります。
通常、音楽をする、とか、演奏する、とか訳されていますが、「ドイツ語中辞典」(鉄野先生編)では、「(一緒に)音楽をする」と訳されています。この「一緒に」音楽をすることも、重要で、楽しいこと=音楽を通じて人とコミュニケーションをすること、でもあります。

本来、ピアノソロか、伴奏・アンサンブルのピアニストか、ということは、個人プレイと、チームプレイに置き換えられますから、上下の問題ではありません。音楽をする形として、一緒に弾くことも、重要なことなのです、ということを、西洋音楽の本場での音楽のあり方として、もう少し理解してほしいと思いました。どうぞ、皆さん“Musizieren”して下さい。

スペースがあるので、余談です。5月23日、敬愛する深沢亮子さんの「ピアノリサイタル」がありました。れっきとした「ピアノリサイタル」ですが、プログラムのうちにピアノソロは真ん中に3曲で、後は全てトリオでした。聴衆としては、大変楽しめる、暖かい音楽会で、素敵な時間を共有できた、という感想です。さすがに分かっていらっしゃる方は、音楽の提示の仕方が違う、と思った次第です。

2008.04.29 社長のブログ7:ピアノの違いを分かってほしい


確かにお宅にお持ちのピアノは殆んどが「ヤマハ」か「カワイ」で、演奏会場にあるピアノはスタインウェイ社がおっしゃるように、95%までは「スタインウェイ」で、選択の余地が大変少ないのが、現状であります。そして、たまたま、それ以外のピアノがあると、「弾きにくい!」、に始まって、「鍵盤の感触が気に入らない!」、「ペダルが重過ぎる!」、などなど、ピアニストや先生方から、苦情を沢山頂きます。でもこれは正しいことでしょうか?
音楽を奏でる人はロボットではありません。ピアニストは、個性豊かで、想像力も豊富な、人を驚かせたり感動を与える演奏者でなければなりません。いつもそういう同じピアノで練習をしていて、工夫する知恵がついたり、豊かな個性が育つとお考えですか?
残念ながら、日本には、選択肢が少なかったと思います。そもそも、ヤマハやカワイが世界一のピアノで、他に何も必要ないと思ってきたのですから。

私は一貫して、「他のいいピアノもありますよ!」といい続けて、20年が経ちました。
ようやく、良いピアノの一角に、我々の推奨する「ベヒシュタイン」「ザウター」それに「プレイエル」が入るようになりました。
プレイエルのフルコンは、2006年に日本第1号で、ザウターもフルコンは今年が第1号として納入されます。夫々、「東京芸術センター」と「神戸芸術センター」です。
東京と神戸の芸術センター両方で、フルコンが全部で、7台納入されています。東京芸術センターのラウンジには、2台グランドがあります。この9台の中に、スタインウェイもヤマハもカワイもありません。
私も“へそ曲がり”だと言われますが、この「芸術センター」オーナーの村井敬社長(東大大学院卒の建築家)も輪をかけて“へそ曲がり”かもしれません。こんなホールは世界にもありません。“ショパンやリストをはじめ作曲家が使用したピアノを集めたい”、というこの方の見識も十分聴くに値します。
特に「神戸芸術センター」は、130席の小ホールが3つもあります。利用料金も、比較的安く設定されております。大変使い勝手が良いと思いますので是非とも利用してください。
(新神戸駅・歩3分 芸術センター総合受付:0570-010161)

さて、本題に戻って、“ペダルが重かったら、あなたはどうしますか?”
そう、いろいろ工夫をしてみることです。人それぞれ工夫の仕方が違います。
「ペダルは耳で踏むものだ」と言われます。踏むタイミング、力の入れ具合、靴の底、座る高さ、位置、足の角度、踵に台を置いてみる、などなど工夫が出来ます。
だから、ピアノは楽しいのです。つまり、ピアノの演奏は「筋肉運動」ではなく「哲学」なのです。(因みに、哲学とは、“知恵を愛する”という意味です。)

今年のコンクール出場の方々の一人でも多くの方が、先生の焼き写しではなく、知恵を使って、楽しんで演奏をされることを期待いたします。その為には、是非、いろんなピアノを楽しんで弾いてみることが肝心です。

2007.05.12 社長のブログ6:2つの演奏会評

最近の音楽会2つの独眼流批評。
まず、弊社の関連する音楽会に関して、このHP上での対応の悪さを、責任者である私が批判しても始まらない。私の仕事として、最近の円安とか、ドイツ会社の問題とか、どうしても優先してそこまで、気が回らない。これも私の能力の限界、とご理解いただき勘弁願いましょう。

さて、遅ればせながら今日のテーマは、4月21日の大澤美穂さんの東京都庭園美術館の演奏会と、4月28日の住友郁治氏の東京文化会館小ホールの演奏会についてである。
大澤さんのコンサートは、「プレイエル190」で弾いていただいたのだ。まず、ピアノをステージでなく、聴衆と同じ平面で、しかも、長方形の長い辺の中央に置いたことが、大変良かった。これはヨーロッパではごく当たり前の、[サロン]を連想するからである。
日本の演奏会の歴史は、残念ながら[演壇]から始まっている。だから私がいつも主張する「ピアノの演奏に”遊び“が無くなってしまった」という主張にも通じる。ボンのベートーヴェンの生家の隣のカンマーザールを想定していただけばよい。そこにはステージなるものはない。
さて、ショパンプログラムの前半の演奏はともかく、後半に入って、“なるほど、ショパンは、プレイエルのなんともいえない繊細な音が、気に入っただろうな!“と感じられる音が、随所に現れてきた。私は、2年前にパリで、ショパンが生きていた当時のピアノで聴いた音が彷彿とした。(パリでの翌日、ジョルジュサンドのノアンの館で、やはり当時のエラールで、同じピアニストの演奏があり、音の対比は、歴然と記憶に残った=職業柄か、結構自分でも良く残っているものとびっくりした。) つまり、大澤さんの演奏が良かった、ということになる。そして演奏会終了後、「プレイエル」をほめてくださった大澤さんの説明も、なんとなくつたなくて、それが会場の暖かい雰囲気をいっそう、盛り上げた。“ああ、日曜のいい午後だった!”といえる楽しい演奏会であった。

次は、文化会館小ホールで、当日券を求めてきた知人が、“小ホールでこんなに行列が出来るのは最近見たことがない!”というほどの盛況で、その方はあきらめて帰ろうとされた。私の切符の持分もまだ残ってはいるので、ダメならなんとか入れてあげますから、といってお引止めして、聴いていただいた。
この演奏会には、ベヒシュタインのフルコンを貸し出したのであるが、“国立のホープ”の名に恥じないエネルギッシュでしかもピアニシモがきれいに出る、ドイツ人的な演奏であった。特にリスト、ベートーヴェンはすばらしい演奏であった。
最近読んだ本で、“ベートーヴェンは、実は、ピアニシモの作曲家(私は、「演奏家」と書きたいのだが)だったのではないか“というクダリは説得力のある文章であった。当時のフォルテピアノ製作者に音量を要求したベートーヴェンの力強い演奏と、音が弱い、繊細、敏感、という意味でのピアノのタッチによる、音色の変化、つまりは、ピアノ曲の中で、その小節に想定されたいろんな、楽器の音、を見事に使い分けての、演奏であった。超満員の聴衆は満足であったであろう。
最近の、ベヒシュタインの設計意図は、このベートーヴェンの要求した音量と繊細さ(ベヒシュタインは、音の色彩感という)と一致する。大雑把に言えば,シュトライヒャーが、ベートーヴェンの要求に応えて晩年に提供した73鍵のフォルテピアノの設計思想である。つまりエラール→スタインウェイという音量追求の流れに、追いつけ追い越せということで、この演奏を聴いて、この目的はずいぶん達せられたな、と実感した。会場にお越しの方も大方、こういう満足げな表情で帰られた。私どもからすると、“住友先生、さま様”でよく、こういうピアノの能力を引き出してくださった、という感謝の演奏会であった。
有名でもつまらない演奏会よりも、こういう何かのヒントの得られる個性的な演奏会に是非沢山の方に訪れて欲しい。数少ないベヒシュタインのあるホールは、たいていの場合、購入を担当された役所の方は、大方の反対に逆らって、何かにこだわって選定いただいた場合が多い。
ピアニストも何か、意図するものがあってベヒシュタインとか、普通のホールにないピアノを弾かれる場合が多いと思うので、多分演奏の中に、何かのヒントがあるはずである。こういうことを、独眼流の私が述べても、意味がないので、どうぞ、ピアニストの方、この観点から、ご自分で確かめていただきたい。(東京・千歳烏山のショールームでは、どれでも新品が自由に弾ける)
東京に限らず、演奏会案内は、当HPより、ピアノのブランドをクリックして、演奏会予定など、をご覧いただきたい。
この意味で、今のベヒシュタインは、現存するどのピアノメーカーより、面白いと自信を持って言えるし、プレイエルもどこかで、設計思想が引き継がれていると思うと、こんないい演奏をまた、聴きたいと思う。
参考資料:「ピアノはいつピアノになったか」大阪大学出版会。伊藤信宏編。
この中の、258ページからの、[プレイエルとショパン]の記述も面白い。

2007.03.01 社長のブログ5:建築家、村井敬氏の見識


昨年はドイツの会社の清算とこの日本会社の改革で多忙を極めました。そろそろ世界漫遊旅行などしたい年頃(?)ですが、益々忙しく、しかも自分で仕事を楽しんでいるのですからしょうがありません。熟年離婚の年頃でもあります。
さて、昨年4月にオープンした[東京芸術センター]は順調に推移していると聞いております。この建物に関連して、私が、音楽について常々述べていることが3つあります。

一つ目は「食欲、性欲についで、第3の人間を規定している要素は、[遊び]である。」ということで、これはオランダの哲学者「ホイジンガー」の説です。この考え方がヨーロッパの文化構造を形作っている。音楽もスポーツも、競馬も全て遊びに源があり、同根です。
二つ目は、「音楽は美的体験で、その源はピタゴラス(前580年頃の生まれ)にある。」これをきちんと理解していないと、楽器の演奏論はスタートしない、ということです。この何故「ピタゴラス」かというつながりは、皆さんどうぞ勉強してください。
三つ目は、ものの違いを認識することで、人間の知恵が発達するわけで、つまりピアノの音も、メーカーによっても、モデルによっても違わなければならない、ということです。ましてや、演奏する人によって出てくる音は違って当たり前です。この違いを沢山聴かなければならないし、又、自分で弾いてもみなければならないということです。
幼児の頃、沢山音を聴いて、音に対する自分の美的価値を認識できるようになり、成長して、楽器の演奏をするようになり、そういう音を得るには、どういうテクニックで実現できるかなどを工夫しなければなりません。
型または形から入る日本の伝統芸術では、同じような音が出てしまうし、テンポ感とかアーテキュレーションも先生の型どおりのまねでは演奏が退屈です。最初は仕方がない、といわれるかもしれません。でも音大に入り、「個」を形成すべき年齢でまだそれではちょっと心もとありません。

かつて[レコードはどちらかといえば聴かないほうがいい]と言った著名な、ピアノ教授がいましたが、そういうテクニック偏重から早く脱しなければなりません。重ねて言えば、音楽はもとより耳の芸術であり、「耳(聴くこと)に始まって、テクニックに至り、そして耳に戻る、(耳によってテクニックを工夫する」=ペダルは耳で踏め、と言われる所以です。ここまでは、釈迦に説法で、申し訳ありません。


さて、ようやく、本題です。
日本のピアノ市場は、ブランド志向というか、右へ習え、というか、国立の音大(音楽科)も公共ホール、購入するピアノのブランドが偏りがちです。学生にとって、ピアニストにとって不幸なことかもしれません。
ホール建築も、常に「残響何秒」ということに捉われて設計しすぎています。これはオケとか、室内楽とか、音が一点から出ない場合は、どの位置でも中庸に聞こえ、しかもホールが大きくなっても、隅々まで響きが届く、という点で、利点はあります。しかし、特にピアノの場合、残響が長すぎる場合、音が上の空間でワンワン鳴って残ってしまう感じがあり、シャープなところが聞こえてこないという欠点もあります。
その点、昔、「FM東京のホール」は、残響の加減が出来、面白い実験ホールだと感じました。もう、20年近く前のことです。
そして、最近のホールで、ピアニストがこの長い残響に頼ったとしたら、工夫をしなくなります。こういうアンチテーゼとしての問題に、あえて挑戦したのが、表題の建築家村井氏でした。

この「東京芸術センター・天空劇場」のオープニングの演奏会で、ヴァイオリニストの斉藤アンジュさんに感想を聞くと、“残響が短いので、弓を放す瞬間を遅くして皆さんに聞こえる時間を長くしたり、ビブラートを大きめに演奏したり、もう工夫をしました“というのです。ピアノの場合、よりレガート風に弾いたり、ペダルから足を離す瞬間を遅くしたり、観客の反応にも耳を傾け、反応を読み取らなければなりません。演奏家が、こういうことを考えなければならない、より厳しいホールの環境は、演奏家を育てることにもなるわけです。
私は、この天空劇場と称するホールにおいて、初めてこういう見識を拝聴したわけですが、こういうことを、分かって実験しようという村井氏の見識と勇気には、感服した次第です。どうか、「東京芸術センター」の音響が悪いから音楽には向かないホールと誤解しないで下さい。

一方、日本の公共ホールは、ピアノ設置に関連しても右へ倣へで、相変わらず、「ウチにはスタインウェイのフルコンが3台あります!」と自慢しているお役所の方もいらっしゃいますが、ある程度以上のレベルのピアノについては、音楽教育的見地からも、いろんなメーカーのものを試していただきたいと思います。せめて、公立の大学も、もう少し、ヨーロッパの文化を分かってほしいと思います。皆さん、この意見は、「我田引水」と思われるでしょう! その通りです!
でも、私どもが、日本でしようとしていることは、“真実”普及のための啓蒙活動でもあるのです。

2006.4.17 社長のブログ4:「独目八目」


最近の出来事:しばらく多忙にかこつけて、ご無沙汰いたしました。私の滞独は32年にもなります。
ドイツの会社も片付きだしまして、少し日本の市場にも目を向ける時間が多くなりました。本来の得意なマーケテイングを日本市場で、駆使するということは、大変楽しいことであります。社員からは「ついていくのが大変!」、悪く言えば『ひっちゃかめっちゃか!』との事ですが、私には、一つ一つ成果を挙げていく責任があるわけですし、約20年前に、日本市場へ輸入ピアノで、ドイツから進出しようとしたときには、昔の業界の知己は、全員大反対でした。ともかく、弊社が、20年近く存続しえただけでも、私自身にとっては楽しい経験です。同時に、販売店とご購入いただいた皆様のおかげです。
一方、松下の電子楽器のドイツ総代理店という事業は、ドイツでは、国民全員が待ち焦がれる、65歳の定年の日(11月16日)に、偶然にも、清算の登記をいたしました。これまた、会社創立から最初の15年近くは、ヤマハを追い上げ、利益が出てしょうがない状況も作り出しましたし、勉強にもなりました。ここで、経営という私の使命の一つの山が、終わったことになります。

日本の事業の、ひとつの区切りとして、今回の「東京芸術センター」への納入の記念コンサートを企画いたしましたが、準備不足で何も出来ず、会場にお越しいただいた方、出演された方、関係者の方、大変申し訳ありませんでした。

さて今回は、天空劇場(ホール、400席)について若干、補足説明をしておきます。
=演奏会の前に挨拶で述べさせていただいた2点です。

1.この劇場(ホール)は残響の長さにとらわれずに作製したので、演奏者に厳しいホールです。演奏者は、ホールに合わせた演奏を考えなければなりません。
3月には、ベヒシュタインのピアノコンクールの最終演奏会が、エッセンの新しいホールでありました。ここはまさにその正反対で、鳴りすぎるホールで、全演奏者のピアノコンチェルトのピアノ音がよく聞こえてしまい、結果としてつまらなくなってしまいました。教会のコーラスがうまく=きれいに、聞こえるのと同じ効果です。
天空劇場での、15日の、斉藤アンジュさんは、後半見事にそういうホールにあわせた細かい変化を考えた演奏に変えられました。たとえば、ヴァイオリンの弦から弓を離すタイミングを遅らせる、とか、ヴィヴラートの長さを変える、などなどです。
まさにこの建物の建築家、村井社長のいわれる、「ホールが演奏家を育てる」、という成果が、もう現れたことになります。ピアノの場合も残響を考えて、鍵盤から指を離すタイミングを遅らせるとか、ペダルの使用法を変えるとか、自分の求めたい音をどう実現するかの工夫をしなければなりません。そのためにはテクニックもさることながら、自分の求める音が分かってなければならないこと、それが聴衆にどう響いているか、も考えなくてはなりません。ホールや、観客が演奏家を育てるという意味の立証です。

2.またまた、村井社長が、贅沢にも、建物の一階の一番よい場所に、楽器を収納する場所、展示できる場所を考えてくださいました。天井は5mもあるラウンジ空間で、そこには、ザウター182cmと、シュタイングレーバーの168cm、のグランドを収めさせていただきました。
人間の知恵の発達の一番最初は、「違いを認識する」ことから始まります。1歳の赤ちゃんを想像してください。何か一点(特に人の顔など)をじっと見つめている光景によく出くわすでしょう。耳で何かを識別することも同じです。そのときに、記憶の細胞が形成されて、同時に、少しづつ、違いを認識するのです。
ピアニストは、今からでもそれを意識的にトレーニングしなければ、自分の欲する音がわからないままになるし、それに呼応するタッチの訓練にもなりません。公共ホールや、国立の一流音楽大学の備品が、ヤマハとスタインウェイでは、学生のそういう成長を閉ざしていることにもなります。
そのうち、ここの、4台を弾き比べて見ることも、可能になるでしょう。お問い合わせは、メールでどうぞ。

今日も、広島の、美術館にベヒシュタインが納入されました。まずは、“聴きなれない音”という認識でも結構ですから、新しい響きを聴く、聞く、機会を持ってください。まずは、今後のTGCの活動に注目ください。

又、まもなく帰独です。次回帰朝する頃には、もう少し長く日本滞在が出来るよう、ドイツ会社の清算を終わらせるべく努力いたしたいと存じます。

2005.12.1社長のブログ3:社長からのメッセージ

“ベヒシュタイン”と “プレイエル”のフルコンサートモデルが天空劇場へ納入決定!

天空劇場:「東京芸術センター」(足立区、2006年4月1日竣工予定の民間ビル)ホール


本年も皆様方のご指導とご支援をもちまして、大過なく年の瀬を迎えることができました 。
大変お世話になり誠にありがとうございます。
本年最後のニュースとして去る12月15日、上記の劇場へ、プレイエルとベヒシュタインのフルコンサートグランドピアノが、それぞれ1台の納入が決定致しました!
プレイエルは、現在唯一のフランスのピアノメーカーで、1975年に経営が立ち行かなくなった後、1982年、プレイエルの技術者9人が、南仏のアレスという地で、“ラモウ(Rameau)”という名前でピアノ生産を再開したことに始ります。もう一つの、ベヒシュタイン本社は相変わらずの快進撃です。

今回納入される「東京芸術センター」という建物は、足立区が、旧区役所の土地を、定期借地権で民間に貸与し、その土地に立てられた建物の一部を、区が必要に応じて、借り上げる方式を採用したものです。
従来の、市や県が直接建物を建設したり、第三セクターを設立して建物・音楽ホールを建設する、というものではありません。なお、今年6月オープン予定の杉並区公会堂も、民間企業(京王電鉄サーヴィス㈱)に運営を全面的に任せてしまう方式です。

このビルの建設は、株式会社「村井敬合同設計」が、設計・監理を担当し、綜合商事という会社が、完全に自主経営します。
したがって、先ず、多目的劇場(ホール)を21・22階に設置した天空劇場スタイル(ホールの両側から、青空が見える)とし、そこに設置するピアノも、従来の常識を覆す、村井社長の独自の発想で選択され、決められました。
村井社長は、最近の発展目覚しい、“ベヒシュタイン”と、わが国に初めて輸入される、“プレイエル”のフルコンサートグランドピアノ第1号という組み合わせで、画一的な文化から、個性あふれる芸術教育に資するという、その名の通りの「芸術センター」を実現したいと考えられました。この「東京芸術センター」は、単なるオフィスビルでもなく、ブランド品のテナントを入れるだけのビルでもなく、芸術文化を中心におく、都市空間での新しいビルのあり方を追求しようとしたものです。
海外にも造詣の深い村井社長は、都市の中のビルのあり方や、街の商店街が寂れていく現状、つまり文化がなくなっていく現象にも注意を払い、足立区の街づくりにも協力いたいと考えました。海外の都市開発ビルなどの例を参考に、今回の、『芸術センター構想』となりました。たまたま、私は、このような、都会でのビルのいろいろなスタイルを、ヨーロッパでまじかに見ています。そこで、個性的な建物のあり方から考えたとして、弊社から、“プレイエル”(フランス)と“ベヒシュタイン”(ドイツ)のフルコンサートピアノの設置を提案させていただきました。そして、採用されましたことから、この「東京芸術センター」の文化活動に、弊社は全面的に協力し、その建物の居住者・テナントの社員の方々をはじめとして、直ぐ50m先に、音楽環境創造学科が移転する東京芸大の学生や、北千住の商店街の発展にも大いに寄与するべく何かお役に立てればと思っています。
そして、北千住という交通の要地に、わが国のショパンファンが、簡単に“プレイエル”に触れられるということは、大変たのしみな“事件”でもあることでしょう。幸い、只今、大好評のうちに、河合優子さんの、ショパン・プレイエル・フェステイバルが進行しています。名前はポピュラーなショパンも、その弾き方となると、深い知識を必要として、それが、その説明とともに、そのとおり聴かれる、というセミナーだから、大好評なのでしょう。

最後に、建物の話にもどりますが、このような高尚な「哲学」を持ったビルの実現は、西洋音楽・文化の真髄を紹介しようという、村井合同設計と弊社、両社にとって、最良の場を提供することになることを確信いたしております。

尚、ホールは約400席の可動式席で、音楽会、発表会、そのほかの芸術活動の場として使用を受け付けております。弊社からの、ホール運営の担当の方に、オープニング(4月1日)記念として、色々な提案をさせていただいております。その中には、特別価格での調律料(未定;約15、000円程度)サーヴィスと、ピアノの説明をセミナー形式の講義(15分から、45分まで)として無料で提供することなどがございます。実現の際には、音楽会、ピアノ発表会の前などに、ご利用下さい。(2006年9月30日まで)
また、ベヒシュタインの創立者、カール・ベヒシュタインは、パリのPape(パペ)の下で修行を積みました。そのパペは、“プレイエル”の工場で研鑽を積んだ後、パリで工房を独立させたのです。奇しくも、歴史の“あや”として面白いことです。
これらのピアノは、従来のスタインウェイとか、ヤマハとどこがどう違うかということの説明も聞いていただきたいし、その音も聴いてください。
こういうピアノの説明は、私の言うところの、“文化”です。
文化を売った(理解していただいた)後に、商売(品)がついてくる、という昔のドイツの商売の仕方を地で行くという場が出来たことも、私にとって近来にない楽しいことです。

最後にもう一つ。
プレイエル父子は、ピアノ製作者であると同時に「ピアニスト」でもあったことは案外知られていません。当時のクレメンテイもそうでしたが、プレイエル父子の楽譜は、今でもパリの国立博物館にあり、パリ在住のピアニスト、奥山 彩さんを通じて、収集しているところです。そしてオープニングには、本邦初演となる、イグナツ・プレイエルとカミュ・プレイエルのピアノ曲や、アンサンブルを奥山さんによって、披露することも提案しております。
カミュのCDは1枚有りますが、当時のパリの音楽(18世紀初頭から、後半まで)を実際に今の“プレイエル”の音で味わうことが出来ることでしょう。
ベヒシュタインについては、来年3月末のベヒシュタインコンクールの入賞者(優勝者?)をお迎えしたコンサートなどを企画し、皆様と、語り合える機会のあることを楽しみにしております。

いずれにしましても、4月1日から、オープニングセレモニーが始まります。逐次、内容をHPで告知いたしますので、しばらくお待ち下さい


                   戸塚亮一

2005.10.1社長のブログ2:低価格の販売は

弊社の販売する商品は、ベヒシュタインにしても、スタインウェイ等ほかの有名輸入ブランドの後塵を拝していますので、幸い並行輸入の問題はそれほどありません。それでも、かって、ある公共ホールが、地元の有力楽器店を通して、フルコンサートを並行輸入、納入しました。“事前に選定する”という条件がついていたにもかかわらず、日本人がドイツに来て、ほんの触るだけ(立合った日本人の証言)で、「検品」という体裁を整え納入しました。その後、結局、弊社に調整の依頼があったりして、まあ、妥協をしましたが、安く買うことが本当にいいことでしょうか? 弊社では、グランドピアノは、通常の技術レベルの技術者が、4日間かけて出荷の調整をします。もっと長くかかることもしばしばです。その上で、ショ-ルームに入れる場合は、ピアニスト、購入者の希望に合わせて調整後に出荷となります。そういう、経験のある、またはメーカーで、製作意図などをきちんと理解した技術者が、調整して、本来の文化の橋渡し役でもある、「ピアノ」というものが完成します。そして、「その作業に対する対価を受け取る」という商売をしております。技術レベルが高ければ高いほど、そこにお金が要かり、提供する商品は品質も値段も高くなってしまいます。 地方の契約取引店の場合、そのお店の方をヨーロッパの技術研修旅行にお誘いしたりして、技術レベルを上げていただいております。

余談1.ごく最近ドイツから帰国したある販売店の技術者は、約10ヶ月、弊社のドイツ会社で研修の後、メーカー3社を2週間づつ回り、9月に、帰国しました。帰る頃ようやく自分の技術に対する心構えができたとみえて、ピアノに向かう姿勢もはっきりし、顔つきまで変わりました。

弊社では、しげく国内の技術セミナーも開催しております。こういう国内の技術・販売のセミナーなどに出かけてこられる技術者のいるお店から弊社輸入ピアノをご購入ください。そのお店の店頭で実施することもしばしばあります。 商売とは、ドイツ流に言えば、「ものをお金に換えることではなく、そのものの意味とか背景とか歴史を合わせ伝えることに意味があります。ピアノに限らず、普通の道具とか、唐突ですが、“新幹線”を売ることにだってあるのです。

余談2,ドイツの特急に乗ってみてください。10何両かの車両に、実に多くのタイプの車両がつながれていることに驚かれるでしょう。人の移動には、夫々理由があります。急ぐ人、グループで楽しみながら旅行する人、必ず座って行きたい方などなど。そういう人に合わせた車両が作られ、つながれています。ドイツの列車の座席指定席の考え方、取り方が、日本の新幹線の儲け主義とは全く違います。だから、ドイツ企業またはドイツという国は文化を前面に出しながら『商売』をしてくるのです。

さて、国内にはピアノの量販店、というタイプもあります。弊社は、公取がなんと言おうが、「ほかより安い!」というタイプの店は断固排除します。先に述べたような理由で、夫々の店が、「本来の商い」としての努力をしている結果、一定の利益は必要ですし、その利益で、商売が長続きするし、お店の財務体質もよくなっていくからです。あまった利益は、サービスの向上と新たな需要創造にむけなければなりません。これが楽器のビジネスと、私は考えます。 従って、私はこういう考えに賛同していただき、実践していただけるお店をいわゆる安売り店(ディスカウンター)から、守らなければならないのです。 また、弊社取り扱ブランドがちょっと有名になって、ブランドが全国に浸透してくると、“尻馬に乗る”販売店も現れます。自分で、ブランドを育てる、意欲も、優秀な技術者もいないと、弊社ブランドをどこからかほかのルートで入手して、それを安く売ろうというわけです!こういう商法を阻止しようとして何故いけないのでしょうか?弊社の決算書を見ていただければ、おわかりの様にほんの僅かな利益を毎年計上しております。利益は主に技術研修とか技術の人的投資とか需要創造のためのレクチャーコンサート、セミナーなどに消えてしまうからです。 こういう考えを方をご理解していただき取引を継続していただけるお店には、 今後店頭に「正規代理店」というステッカーが、お店のショーウィンドウ又は店内に張られるよう計画中です。そういうお店からご購入ください。 さて、高邁な理念はいいとして、ところが、です。

余談3,最後の余談です。こう考えて、ドイツでは「テクニクス電子楽器」のビジネスを実践してきました。最強の競合メーカーに十分対抗できる販売店網を作りあげました。
電子オルガン教室からキーボード教室、など、全部事前で投資をして、サービス 技術者も何人もいて、総代理店としてのシステムを20年以上に亘って作り上げました。莫大な将来のための資産がありました。それが、2003年3月、松下電器からの「電子楽器の生産中止」という通知一本で、すべて水泡に帰しました。

GEのジャック・ウェルチ会長ではないのですが、ユーロピアノ社が“こういう価値観を共有できるチームとして文化の体現できる会社”になれば素晴らしいと思います。

2005.6.6 社長のブログ1:戸塚からのメッセージ その1

今年2月のべヒシュタイン社の状況説明は、すぐに結構反応がありました。 現在もそうですが、通常私は、ドイツにおりますのでともすれば、日本のHPの重要性など、看過しておりました。 そして、いろいろ自社のHPもよく見てみると、正直まったく出来が悪く、弊社を探し 当てて訪ねてくださった方に大変失礼であったと反省をしております。いっぺんに全部を変更することは不可能ですが、“ton art”を補完するものとしても、今後できるだけ皆様のご期待に沿えるように変更していきます。 そこで、“弊社の特徴は何なんだ?”と問いかけてみますと、そのひとつに、「技術陣」がありました。ブランドにしても、売上高にしても、スタインウェイにはどう逆立ちしたってかなわないし、企業規模にしたって、まだまだ小企業の部類です。 ただ、非常に堅実な経営で、日本の優良20万社には、ランキングされていると聞いております。 しかし、常々、取引銀行からは、「利益が少ない」、ということも指摘されています。 つまり、会社の理念・使命として、ヨーロッパ製ピアノについての啓蒙とか、ピアノの需要創造に利益を再投資・投下してしまうから利益が出ない、とも言えます。 ということは、弊社の利点の一つは技術と営業・スタッフの人材でありましょう。 前回の、べヒシュタイン社の、マイスターの数を思い出してください。 競争他社に比べて、圧倒的に多い。 そこで、今回は、弊社技術社員、約10名の経歴を、記します。

東 CEO 専務:
(CEO=執行役員)
Y社、ピアノアカデミー(主に調律師の養成学校)主任講師、10年 歴任。銀座店、副店長経験者。 元、日本ピアノ調律師協会副会長。
加藤正人 CEO取締役: 国立音大別科調律専修卒後、実務経験を経て、ドイツ本社駐在4年ピ アノマイスター取得。外国人としての、優秀賞も獲得。 技術部長。弊社の技術セミナーその他でその博学はおなじみ。
向井技術課長: ピアノ調律師養成専門学校卒、実務経験5年を経て、ドイツ駐在2年。帰国。802勤務。(802とは八王子技術・営業センターの略です)
阿部アーテイスト・サービス室課長: 国立音大別科調律専修卒。スタインウェイの研修生2年を経て、実務経験後当社に入社。弊社の定める2週間のドイツメーカー研修を2回経験。弊社の 主席コンサートチューナー。
大河原 主任: ピアノ調律専門学校卒、直ちにドイツで2年間駐在。帰国。アーテイストサーヴィス室(ASS)勤務。
Fr.野中 主任: 802勤務。ピアノ調律専門学校卒、実務経験を経て、弊社入社。 この間2-3週間のドイツ会社およびメーカー研修を3回履修。(Fr.は女性)
菊島 課員: ピアノ調律専門学校卒後、弊社研修生2年。802技術部勤務。 本年、6月_7月、べヒシュタイン2週間研修。
Fr.丹治 課員: 上野学園大学 音楽学部 音楽学科卒業後、ピアノ調律専門学校入学。卒業後、実務経験(ピアノ調律師協会会員)を経て、弊社研修2年履修。
その他、立花課長と、尾山課員は、大学卒業後、専門学校経由、実務経験後、弊社研修後両名ドイツ駐在中。そのほか、調律専門学校または国立音大別科を卒業した技術研修生が、4名おり、いずれ、どこかのピアノ専門店または弊社で、活躍するときがくると思います。 またどうぞ、ご遠慮なく、弊社の阿部、大河原にお宅のピアノの状態をチェックさせてください。診断カルテを提出いたします。(カルテの提出のみ5000円プラス交通費実費) 弊社は、営業関係にも、調律専門学校出身者が、何名かおります。 営業・スタッフの卒業学校を記すと、国立音大別科調律科2名、中部ピアノ技術専門学校、武蔵野音大P、東邦音大P、名古屋音大P、京都芸大声、国立音楽院専攻科、国立音大声、(順不動)などです。 余談ですが、最近売れっ子の「斉藤孝」の本をよく読んでいます。 「座右のゲーテ」の中に、「学歴は評価としてでなく、その人が、どういう環境の中で 学生時代を過ごしたか、を知る上で参考になる情報」とありました。「座右の諭吉」 「できる人はどこがちがうか」「声を出して読む本」など、大変面白く参考になりました。 通常、ドイツにいますので、新聞の広告でよく見ても、手に取ることがありませんで した。この欄を借りて、この著書を薦めてくださった方に感謝いたします。