2005.1.1 ベヒシュタイン社の現状について
皆様方に置かれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを頂き、厚く御礼申し上げます。
さて、昨今インターネット上で、ベヒシュタインが韓国製であるかのような事実とは異なる情報を楽しんでいる私語が見受けられます。この誤った情報を流す方は、概して所謂“愉快犯”か、ベヒシュタインのここ10年の急成長に対するやっかみを持つ者が行っている場合が多いと思います。
私はベヒシュタインのシュルツェ社長と25年来の親交がありますが、1986年に当時アメリカのボールドウィン社の傘下にあった会社を買取り、今日も世界戦略を着々と進めている彼のエネルギーは、驚嘆に値します。
そのストーリーの一旦をここにご披露させていただきますので、いろいろな機会に“愉快犯”を糾していただければ幸いでございます。
なお、私の記述に誤りがあってはいけませんので、シュルツェ社長に確認をとりました。
1. 商品の生産地(2005年1月1日現在)
ブランド
モデル
パーツ生産地
組み立て
最終出荷調整
C.ベヒシュタイン
ゴールドライン
GP
ドイツおよび世界各地
ザイフェナースドルフ
ベルリン
〃
〃
UP
〃
〃
ザイフェナースドルフ
ベヒシュタイン
アカデミー
シリーズ
GP/UP
〃
〃
〃
C.ベヒシュタイン、ベヒシュタインブランドのピアノはすべて、ベヒシュタインのザイフェナースドルフ工場で製造、組み立てられております。
2. ベヒシュタイン社発展の歴史概略
1986年 ドイツ人シュルツェ氏が、ベヒシュタイン社の資本持分の大半をボールドウィン社から買い戻す。
1987年11月 タイヨー・ムジーク・ジャパン社(現ユーロピアノ株式会社)を日本に設立し、日本総代理店として販売を開始する。
1997年 ベヒシュタイン社(以下、CB社と略します)は、当時初めて制定された「小株主会社法」(1996年施行)に則り、有限会社から小株会社に変更、上場する。
業界関係者をはじめ、ピアニストなどに呼びかけ、広く株主を募集する。私も購入いたしました。
会社の発展とともに、株価も上昇し、増資・拡大路線をとり、資本の増強を図る。
ドイツ国内ではここ10年間で最大の小売販売ネットワークを作り上げました。
ちなみに、直営店はベルリンをはじめ、デュッセルドルフ、フランクフルト、ミュンヘン、テュービンゲン、ケルンと市内の中心地にあります。
品質の向上、工場の建設にも力を注ぎ、チェコ国境に近いザイフェナースドルフに工場を建設し、月産UP200台以上、GP50台を達成できるまでになりました。
一部の商品は、ここからベルリンの工場に送られ、山内氏(おなじみのピアノマイスター)等により出荷調整され、そこから世界へ輸出されます。その他のCB社のピアノは、すべてザイフェナースドルフを通って出荷されます。
現在、CB社にはベルリンに6名、テュービンゲンに4名など、合計20名のピアノマイスターがおり、圧倒的に多数のマイスターが、設計・製作、工程・品質管理などに従事しております。そのほかに、商品開発専門技術者が4名おります。
2003年 サミック社と提携
何故、サミック社との提携は行われたのでしょうか?
上述の拡大路線には、さらに資本の増強が必要でした。そこで上昇した株価(会社の価値)を基にシュルツェ氏個人の株58%を手放し、それと交換にサミック株15%を取得し、同時にシュルツェ氏はサミック社のピアノ部門の指導的立場に就任しました。
ピアノに関する意思決定は、シュルツェ氏によって行われるといっても過言ではありません。
サミック社の目指すところは、日本のメーカーのような、世界的総合楽器メーカーです。その発展の中心がピアノにあったように、ピアノ中心にならざるを得ず、日本のメーカーに勝つためにどこかを引き入れる必要があり、そこでCB社の思惑とサミック社の品質向上→世界的規模の実現という方向性が一致しました。
私から見れば、まさに『名を捨てて実を取る』という典型的ドイツ人の合理性の実現ということです。
しかし、この提携も最近のCB社の増資により、サミック社の比率は48%までに下がりました。サミック社の傘下という表現は、もはや当てはまりません。
ドイツ国内販売は、ここ数年毎年10%の成長をしています。販売台数は3000台以上で1・2位を争っています。
現在、両者共同で上海に大ピアノ工場を建設中です。
2004年―2005年 日本では最近、東京都の杉並公会堂にベヒシュタインのフルコンの納入(2006年)が決まりました。
ホール使用の受付を開始しております。
2004年1月16日 日本調律師協会主催の浜離宮ホールでのベーゼンドルファーとの弾き比べでもD型フルコンが好評を得ました。
2006年 ベヒシュタイン・ピアノコンクールが初めて開催されます。
参加説明書はすでにできております。優勝者には約200万円の賞金とオーケストラなどとの世界ツアーが予定されております。参加の申し込みは2005年10月30日消印までとなっています。
シュルツェ氏の進撃はまだまだ続きます。
今年2月のべヒシュタイン社の状況説明は、すぐに結構反応がありました。
現在もそうですが、通常私は、ドイツにおりますのでともすれば、日本のHPの重要性など、看過しておりました。
そして、いろいろ自社のHPもよく見てみると、正直まったく出来が悪く、弊社を探し 当てて訪ねてくださった方に大変失礼であったと反省をしております。いっぺんに全部を変更することは不可能ですが、“ton art”を補完するものとしても、今後できるだけ皆様のご期待に沿えるように変更していきます。
そこで、“弊社の特徴は何なんだ?”と問いかけてみますと、そのひとつに、「技術陣」がありました。ブランドにしても、売上高にしても、スタインウェイにはどう逆立ちしたってかなわないし、企業規模にしたって、まだまだ小企業の部類です。 ただ、非常に堅実な経営で、日本の優良20万社には、ランキングされていると聞いております。
しかし、常々、取引銀行からは、「利益が少ない」、ということも指摘されています。 つまり、会社の理念・使命として、ヨーロッパ製ピアノについての啓蒙とか、ピアノの需要創造に利益を再投資・投下してしまうから利益が出ない、とも言えます。 ということは、弊社の利点の一つは技術と営業・スタッフの人材でありましょう。
前回の、べヒシュタイン社の、マイスターの数を思い出してください。
競争他社に比べて、圧倒的に多い。 そこで、今回は、弊社技術社員、約10名の経歴を、記します。