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2009.04.17社長のブログ13:<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>


<日本のピアノ・ヨーロッパのピアノ>

ヨーロッパのピアノは「手造り」と言われます。今回は、日本のピアノとヨーロッパの手造りのピアノとどこが違うのか、何故手造りが良いのか、ということに焦点を当ててみようと思います。
最初に、「良いピアノ」とはどういうピアノなのでしょう?という質問から入ります。私の見解では、良いピアノには三つの要素があります。
まず一番目は、勿論よい音を出してくれるピアノです。よい音とは、ギャーンと叫びたい時には、汚い音も出してくれるピアノです。いつもきれいな音では、楽器の表現力がせばまってしまいます。そして、よい音や高い表現力は良い材料、設計に裏打ちされていることが多いでしょう。

二番目は、演奏家にとって弾きやすいという楽器の機能性です。つまり鍵盤の深さや感触は一定で、高音部に行くごとに少しずつ抵抗感が減り、ペダルによる弱音もスムーズで、変化が大きくなるなどです。そのために現在は、自然の木や皮でなく、化学的な材料がどんどん用いられるようになってきました。これは、ピアノが工場を出る最初の段階ではいいとして、果たして、何年も持つでしょうか。その間の調整とか、他の材料とのマッチングは大丈夫かという疑問もあります。しかし均一性を維持するためと、価格を低く抑えるためには、プラステイックなどの材料の使用はやむをえないかもしれません。この点では、日本のピアノは世界一です。

三番目には日本人が忘れがちな重要なことがあります。
それは、ピアノは一台一台違わなければならないという、楽器のもつ「個性」ということです。つまり、人間の知恵の発達は、違いを認識することから始まります。
ドイツ人と議論をすると、よく「人の反応や意見がロボットの様に一定だとしたら、人生は退屈だからね!」と言います。ピアノもまさに同じ感覚です。
私は、この三要素を「ピアノの三位一体」と称しています。
そこで、この二番目の「機能性」が異常に大きくなり、一番目の「表現力の幅」が相対的に小さくなり、三番目の「個性」はもともと眼中にない、というピアノが、日本のピアノです。しかし、日本が、量産によってピアノの価格を低く抑え、これほど普及させたという功績は十分評価できます。他に良いピアノの要素として、外装・デザインなどもあるかもしれませんが、それは本質的なことではありません。

更にここで、日本製のピアノを弁護する話をします。
私は、先日お亡くなりになったピアニストの「園田高弘先生」のお宅に何度か伺ったことがあります。そこで先生は、ヤマハのフルコンサートCFⅢの試作品を大変気に入っておられて、いつもこれで練習をされていました。私のカワイ楽器時代での経験でも、試作品はメーカーが知恵を絞り、お金に糸目もつけずに、「良いピアノ」をといって何台か作ります。そして何人ものピアニストから評価を頂いて、「どのピアノ」と決めた上で、次に「量産試作」と称して、コストダウンを徹底的に図ります。なぜなら一定の小売価格に抑えないと売れないからです。それもピアニストに見てもらい、最終的に、仕様書を作成して、後はただ何千台、何万台と作るだけです。

ヨーロッパのような手造りのメーカーではそうは行きません。高級品になればなるほど、一台一台が全て日本のメーカーがいう「試作品」です。たとえば
「今度は、ここはぶなの木を使ってみようか、そうすると硬い木で囲むことになり、音の持続はもしかしたらよいかもしれない。接着の仕方は、ほぞ合わせしてみようか。」
など工夫は毎回どこかで行われる、といっても過言ではありません。日本人からすると、ヨーロッパピアノは、商品を受け取って、出荷調整の時に驚くことが沢山あります。だから、一台一台選ぶことも大切になります。ほんのちょっとした改良を、音の変化で理解することは、なかなかできるものではありませんが、そういう意味で一流のメーカー、店を選ぶ必要もあります。

話は脱線いたしましたが、園田先生はCFⅢのあと、ベヒシュタインを弾かれます。そうすると、自分がこう弾きたい、こういう音がほしいのだ、という点がどんどん分かり、今度は、部分的にベヒシュタインで練習されます。そして大体これでよし、となってから、スタインウェイのBをさっと弾かれて、演奏会へ出て行かれるのだそうです。
ともかく、個性は別にしても、日本でも良いピアノを作る能力はあります。
しかし、「量産」=効率化、という概念から抜け出せないので、価格と品質の狭間で、「没個性」又は「模倣」になってしまいます。

最後にヨーロッパのピアノでも、低価格帯のものは、日本製に近く機械化、合理化が進んでおります。ただ、ヨーロッパの考えの中でのピアノ造りであり、メーカーの人たちやピアノマイスターから「楽器の個性・表現力」という概念が常に離れません。そこで、どうやって「量産と個性」というあい反するテーマの中で、ピアノを造るか、高級品は材料も十分吟味し、製作にかける労働時間も十分取り、弾いていて楽しいピアノを作るということを忘れていません。だからヨーロッパピアノはアップライトピアノでも、価格は日本製の二倍、三倍もしますが、弾いていてグランドピアノ以上に楽しいのです。

更に詳しい説明を必要とされる方は、弊社ユーロピアノ株式会社までお問い合わせください。また、弊社ホームページwww.euro-piano.co.jpもご参照ください。

* 日墺文化協会提出資料より転載
日墺文化協会はヨーロッパの広い芸術文化活動振興をしているので、とても興味深く、皆様に入会をお勧めいたします。会員は随時募集しておりますので、ぜひご入会ください。

文責 戸塚亮一

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