2009.8.5社長のブログ14:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 1

はじめに:ドイツ音楽大学の組織
ドイツは、資格社会です。
音楽家にも歴然と職業上の資格があり、先ずは、「音楽大学卒」そして、「芸術家資格」、その上に、「国家演奏家資格」、が有ります。加えて、音楽を教えることを職業とする場合も別の資格があります。その中には、公立学校の音楽教師の資格、そして、普通に音楽教室を開く時、又は、「市立の音楽教室での教師資格」、などです。
最近は、いろいろな教育改革もあって、これらの資格と、その教育機関が錯綜していたりして、日本からの留学希望者には、ちょっと分かりにくい状態です。
ドイツの場合、日本の「文科省」に当たるところが、州単位であるから、州によっても若干異なります。そして更に、「個」を重んじる考え方から、個々の大学によっても試験や、入学資格などに若干の違いがあります。
そこでこれら教育機関の呼び方と、そこで取得できる資格が、ドイツの州のみならず、国、つまり、オランダやフランス、オーストリーによっても異なるので更にややこしくしています。
その辺を記述してみよう、ということが今回のテーマです。第1回は、教育機関と取得する資格の名称について述べ、その2は、「芸術家称号(日本大学院卒に当たる)=KA」に付いて述べ、その3では、学費などについて述べます。音楽雑誌「ショパン」09年5月号の記事は、ドイツ語圏以外は、なんとなくそうかもしれない、程度に読んでください。
1.ドイツの高等音楽教育を受けられる機関
先ず、一般的な用語の解説からしましょう。
高校の卒業試験(アビチュア=Abiture)に通ると、即ち、これが大学入学資格です。
大学は、全部「州立」(日本では、「国立OO音大」と書かれる事が多い)です。
大学は総合大学(Universitaet、以下Uni.と略します)と、専門の単科大学(Hochschule)に分かれていて、音楽大学(Musikhochschule= MHと略します)は勿論単科大学です。
技術大学であれば、THと略します。教育大学もこの単科大学です。
総合大学の中にも、音楽科があり、主に日本と同様に、音楽美学、音楽教育学などを研究し、同時に音楽家、音楽教師の資格も取れます。
最近は、UniとMHが演奏家国家試験の準備機関として同格となったり、教授・講師が兼務していたり、複雑になりつつありますが、これはこの次に述べる、コンサヴァトーリウム=アカデミー(Akademie)の組織とも関連します。
州立の音楽大学(MH)に次いで、市立の音楽学校の頂点に有るものは、コンサヴァトーリウム
(又は、アカデミー)といわれるもので、市立の音楽学校の講師は、市立ですから、公務員です。但し、いわゆる日本の臨時雇いの講師ような講師も多くいます。日本の音大卒の方が、市立音楽教室の臨時講師として、採用されている方も多くいます。市立の音楽教室には、音楽が好きな児童から、18歳くらいまでの生徒が、有料で演奏技術を磨きます。
音楽大学(MH)の講師・教授も、公務員です。最近、では、これらの授業(授業内容) と先生(人件費)の合理化のために、著しい共通化の動きが有ります。
フランクフルト市のある、ヘッセン州を例に取ると、フランクフルト州立音大のちょっと南に、ホッホ・コンサヴァトーリウム(Dr.Hoch’s Konservatorium)と称する、アカデミーがあり、教室は、「ダームシュタット市」と、「ヴィースバーデン市」と、「カッセル市」にあります。
卒業の資格は、通常の音楽大学(MH)と同じ「音楽大学学士=DML-DiplomMusik Lehrer」と、「市立の音楽学校教員の資格=SMP-Staatliche MusiklehrerPruefung」が取得できます。音楽教師も、公立の学校(ドイツの教育機関はほんの一部を除いて、全て、州立、市立です)で教職につくためには、音楽教師の国家試験(Staatliche
Musiklehrer Pruefung=SMPと称する)に通らなければなりません。この卒「DML」や「SMP」はともに10学期制で、5年間の授業です。卒業試験は、学科は勿論、専門実技、教育実習、論文をすべてパスしなければならないので、日本の教員免許よりはるかに難しいといえるでしょう。
その1おしまい。
以下、その2、その3で、芸術家称号=「KA」の取得、と学費について述べます。
ご質問があれば、当ホームページの「何でもピアノ相談室」より、又は、Faxでご相談下さい。
「進学・留学説明会」は、弊社で時々行っている、ドイツ人、フランス人のピアノ個人
レッスンを受けられて、その際(後で)、直接質問されることがよいと思います。
文責 戸塚亮一
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