2009.8.25社長のブログ15:<独目八目> ヨーロッパ留学希望者の方へ―― 2

日本の音大を卒業すると、日本の大学院に相当するドイツの芸術家資格(Kuenstleri‐sche Ausbildung=「KA」のコースに入る、最低限の資格を持っていることになるわけですが、最近は、「KA」のコースに入ることは益々難しくなっています。
演奏技術の点で、相当高いレベルを要求されます。
まず、音楽大学の3年編入がよいかもしれません。
総合大学の音楽科へ入学の場合は、ドイツ語は、ゲーテ上級の取得レベルは当然と見られ、ドイツへ来てから、通常、1年間はドイツ語学校に通うことを覚悟しなければなりません。
また、アカデミーの入学のための、試験の難易は大変差があります。
日本の音大を卒業し、どうしても、長期にわたっても留学したいという方はご相談下さい。
とりあえず、アカデミーに留学し、大学院(KA)へ進むための“予備校”のつもりで入ることは良い選択かもしれません。
滞在期間は長くなりますが、私立のアカデミーの場合は、授業料は有料で、1学期、6ヶ月間で、2—30万円かかる場合もあります。
但し弊社社員の場合は、カッセル市に属した市のアカデミーに5年間在学したため、授業料は無料でした。
2.芸術家資格(KA)の取得。
さて、音楽大学(MH)であれ、総合大学音楽科であれ、卒業試験(Abschluss-Pruefung)を通ると、学士資格(Diplom)を取得します。
アカデミーの場合は、そのアカデミー毎に選択によって、別々の資格が得られます。
その上は、「KA」です。(バイエルン州ではマイスタークラスと称します)
KAを終了すると、「国家芸術家」称号/資格を得たことになります。
さて難しくなった理由は、
① 韓国勢と中国勢の台頭が著しく、日本の留学生数を凌駕しているのではないかと思われるほどです。
更に、彼らの活躍の理由は、韓国国内の演奏テクニックのレベルが、15段階に分かれているグレードがあり、留学希望者の殆どが、その最高位を取ってきている。
日本でも、いっそのこと、テクニック(スポーツ的に如何に早く指が動くか、全部の指が、コントロールできるか)だけの全国共通レベルを設定すると、面白いかもしれません。
2007年7月末に、約10日間、ベルリンで、ドイツ人教授5人による「マスターコース」を、Samick社がベヒシュタイン社の協力の下に、募集・斡旋したら、なんと、90人も集まってしまいました。
勿論韓国の音大の学生が大半で、卒業生、高校生らしき方も1割以上程度おられたでしょうか。
2008年は、実に300人以上の生徒さんが参加しました。ちょっと脅威です。
同時に、韓国人・中国人の性格として、日本人より自己を主張することが強い。それが、入学試験においても、芸術家としての強みです。そして、中国以外のアジア諸国の台頭も見逃せません。
②二番目の理由としては、
入学試験の語学(ドイツ語)について、厳しくなってきた、ということです。
大雑把に言えば、(*注:大雑把という意味は、いい加減という意味ではなく、州によって、また、大学によって、異なる規定を設けているからです)ウィーンでは、演奏テスト合格後6ヶ月で、ゲーテの中級程度があればよいという基準です。
ドイツの「MH」では、入学資格として中級程度のドイツ語を要求され、大学によっては、ベルリンでのドイツ語共通試験を通ってくる事を前提にしているところもあります。
総合大学の音楽科は、ドイツ語の試験の合格レベルが特に高く、ゲーテの上級を終了する程度が要求されます。ドイツ人教授に演奏では認められていても、語学試験では、入学希望者全員に共通なレベルを求めますから、難しくなります。
因みに、オランダ留学では、英語が絶対に必要で、入学後の授業では、オランダ語はむしろ、邪魔になるくらいといいます。
ある教授の話によると、入学試験の際、演奏で落ちても、“あなたのドイツ語ではむりだ。”と配慮をして発言してくださる教授もいるということです。
かっては、日本へ来たドイツ人教授などが、“演奏の実技試験に通るであろう”と言えば、何とか、いきなり、「KA」のコースへも入れましたが、今は、ずっと難しくなりました。
纏めますと、大学院コースへ入学許可されて、芸術家資格「KA」を取るまでに、最低、2年間 (4学期=Semester)は必要で、そのPruefung(「KA」取得試験)を通ると、演奏家国家試験(Konzert―Examenの試験Pruefung)が有ります。
「KA」取得後、すぐに受けてもいいし、少々準備に時間をとる場合もあります。
「国家演奏家資格」をドイツで取った場合、ドイツでは、その人数と、需要(演奏の場)が、日本ほど乖離していないので、ある程度の意欲があれば、音楽家、演奏家、または、市立の音楽教室の先生などを選び、職業音楽家として生活できるでしょう。
余談ですが、日本では、ともかく、メジャーなコンクールに上位入賞しないと、食べていけない環境であろうと思います。世界のトップコンクールにドイツ人が少ないのは、無理をして、コンクールに通らなくても、演奏の場が見つけられるという事情にも拠るのでしょう。
その2 おしまい。
その3は「学費について」へ続きます。
文責 戸塚亮一
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