張弦

2011年4月1日(金)

ピアノの音源は言わずと知れた”弦”だ。
現在は、張力が高いので弦は鋼鉄の素材を使う、が、18世紀中期のフォルテピアノは、鋼鉄ではなく軟鉄がその材料となる。

今回、調布にある音楽大学が所有する18世紀中期のプレイエルの弦交換を依頼され、その作業に従事した。
弦は、フランスの修復家が送付してくれた、マルコムローズ(Malcolm Rose)の物を使用した。

軟鉄弦の場合、耐えられる張力、所謂、弾性限界は1mmの直径で68Kg程度である。現代のピアノは、その程度の直径の場合70Kg~80Kgの張力があっても、限界値から60%程度になる。それから考えれば、軟鉄弦の場合の張力は40Kg程度か、それ以下にしなければ、弦が曲がるポイント等、摩擦や滑りがが大きい場所は、弾性限界を超えてしまう。

しかし、弦の素材と張力のバランスは、楽器の響の大きな要素の一つだ。
今回の作業は、そう言う意味で、響きの変化を身を以て体験する事ができた。

Pleyel

まだ、弦の選定等でフランスとのやり取りが続くが、ロマン派初期の楽器に対峙していると、つくづく現代人と当時の人間の嗜好の違いを感じる。
昔の部品を、全て現代の素材に変えてしまう人もいるが、こういう観点で考えると非常に危険な事だと言う事を確信できる。だから、ヨーロッパでは、当時と同じ弦を“新しく作る”会社が存在する。

いやいや、腰と手は痛かったが、こういうのは楽しめる仕事だ。

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